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《ニュースを追って》茨城県の通報報奨金制度 不法就労抑止なるか 「排外主義を助長」と反発 「不公平感の是正」と歓迎も

通報報奨金のイメージ
通報報奨金のイメージ


不法就労の外国人を雇う事業者の摘発につながった情報に謝礼を支払う茨城県の「通報報奨金制度」で、賛否の声が相次いでいる。県は不法就労の摘発者数が4年連続で全国最多となっていることなどを背景に導入を目指すが、2月の発表後に複数の団体が「差別を助長する」などと批判。大井川和彦知事が「不法就労者を見過ごさない社会の構築が行政の責務」と見解を表明する異例の事態となっている。

■大きなハンディ
「茨城県の社会にとって大きなハンディに、マイナスになると考えている」。4月2日の会見で大井川知事は、茨城県が不法就労者の摘発が全国最多となっている現状に危機感を示し、報奨金制度導入の必要性を強く訴えた。

報奨金制度は、不法就労の外国人を雇用する事業者の情報を募り、県警の摘発につながれば報奨金を支払う仕組みだ。

入管難民法では、不法滞在者などの個人情報を募り、強制退去につながれば通報者に報奨金を交付できる制度が既にある。県の新制度は同法の規定とは異なり、不法就労者を雇用する悪質業者の情報が対象となる。

大井川知事は、不法就労者がなくならない理由を「雇う人がいるから」とした上で、新制度の狙いを「不法就労者を雇うという違法行為を行う事業者に対する抑制」と語った。

■撤回求める声
新制度導入の方針が明らかになった2月以降、各団体などからは撤回を求める声が相次いだ。

県弁護士会(遠藤俊弘会長=当時)は、新制度を「外国につながる人々に対する過剰な偏見、差別を生み、社会の分断を招く」として導入に反対する声明を発表した。このほか、政治団体や市民団体も撤回を求める要望書を提出したり、デモ行進を実施したりした。

3月には県議会定例会で新制度を巡る議論が交わされ、「報奨金の支給を制度化することは、排外主義を助長しかねない」「不法就労助長罪が厳罰化され、茨城県の不法就労が最多であることから、制度の主旨は理解できる」などの意見が出された。

■4年連続最多
出入国在留管理庁によると、全国で2025年に摘発された不法就労者1万3435人のうち、茨城県は3518人に上り、4年連続で最多だった。中でも、農業分野が全体の7割を占めた。

ただ、農業の現場でも新制度に対して賛否の声が聞かれる。

鹿行地域の農業関係者は「不法滞在の外国人を雇用する、懲りない事業者がいるのは事実」と指摘する。「(悪質業者は)忙しいときだけ使えばいい、と思っている節がある」とも語り、「正規に雇う農家が抱く不公平感を是正するのは当然だろう」と新制度導入を歓迎する。一方、茨城町の農業、男性(74)は「報奨金目当てに、やみくもに通報する人も出てくるのでは。通報は互いに不信感が生まれてしまう」と懸念を示した。

★通報報奨金制度
県が不法就労者を雇う事業者に関する情報を募り、県警の摘発につながった場合に報奨金を支払う制度。寄せられた情報を基に県が調査し、事実確認が取れれば県警に通報する。県はインターネットでの情報提供システムを整備し、匿名での通報は受け付けない。不法就労の防止に向けた独自の条例を制定し、早ければ6月の県議会定例会で条例案を提出する。



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