茨城・常総トレーラー事故 「危険運転」求める 遺族夫妻 東京高検に要望書
茨城県常総市で2023年、大型トレーラーが横転して巻き込まれた車の2人が死傷した事故で、娘を亡くした同市の星伸一さん(58)、ひろみさん(58)夫妻らが10日、自動車運転処罰法違反の過失運転よりも法定刑が重い危険運転致死傷罪での起訴を求める要望書を東京高検に提出した。すり減ったタイヤで、制限速度を上回るスピードで走行したことで起きたとされる事故。夫妻は「過失運転では納得できない」と訴えた。
検察はトレーラー運転手の処分をまだ決定していないが、夫妻の代理人弁護士によると、3月下旬に事件を担当する水戸地検下妻支部から「過失運転を適用する方針」と伝えられたという。このため夫妻らは要望書を高検と地検宛てに提出した。
星さん夫妻の娘=当時(21)=が亡くなった事故は、23年5月19日夕、同市水海道山田町の国道294号で起きた。運転手が速度超過でトレーラーを運転中に反対車線にはみ出し、対向してきた乗用車と衝突。星さん夫妻の娘の軽乗用車は横転したトレーラーの下敷きとなった。
県警は当初、同法違反(過失致死傷)の疑いで調べていたが、運転手が摩耗したタイヤで走行する危険性を認識していた点などを踏まえ、23年9月に危険運転致死傷などの容疑で書類送検。運送会社の役員も業務上過失致死傷などの疑いで書類送検した。
遺族側は要望書で、危険運転の要件である「進行制御が困難な高速度」は、道路の形状や路面の状態、車両の構造・性能などを考慮して判断するべきと主張。現場は上り坂のカーブで、当時は激しい雨で路面が濡れていた上、タイヤは駆動輪全てが完全に摩耗し「丸坊主だった」(代理人弁護士)としている。
こうした条件下で運転手は制限速度を上回る時速80キロで走行していたといい、代理人弁護士は「(けん引車と荷台部分がくの字型に曲がる)ジャックナイフ現象を招いて進路を逸脱させる速度であり、進行制御が困難な高速度に当たる」と指摘した。
提出後に都内で会見した伸一さんは「過失運転では納得がいかない。事故にしっかり向き合い、再検討してほしい」と強調。ひろみさんは、事故から間もなく3年を迎えるが「娘のいない日常に慣れることはない」と心境を吐露し「なぜ過失なのか。振り出しに戻ったようで、怒りと悔しさが込み上げる」と語った。
危険運転致死傷罪を巡っては要件があいまいとの指摘があり、政府は3月、適用対象となる高速度と飲酒の数値基準を新設する同法の改正案を閣議決定。高速度は最高60キロ以下では50キロ超過が対象で、飲酒は呼気1リットル中0.5ミリグラム以上で適用するなど要件を見直す。










