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茨城新聞歌壇選者・中根さん勇退 喜怒哀楽すくい上げ15年 多様な投稿「興味深く」

約15年にわたり茨城新聞「茨城文芸」歌壇の選者を務めた中根誠さん=鉾田市内の自宅
約15年にわたり茨城新聞「茨城文芸」歌壇の選者を務めた中根誠さん=鉾田市内の自宅


茨城新聞の「茨城文芸」歌壇で、約15年にわたり選者を務めた茨城県鉾田市出身の歌人、中根誠さん(84)が3月末で勇退した。県内各地から届く投稿作品を通じ、愛好家たちの人生の喜怒哀楽を丹念にすくい上げてきた歳月。「素材が多様で、投稿者は世代の幅が広く好奇心もあり、大変興味深いものだった」と、作品選びに情熱を注いだ歩みを穏やかに振り返る。

■日常の感動

中根さんは1941年生まれ。早稲田大の文学研究科で、歌人の窪田空穂の長男、章一郎さん(故人)の指導を受け、69年に歌誌「まひる野」に入会。国語教師として県立高校の教壇にも立った。

短歌を始めて55年。創作の源泉を「日常の感動や共感を、ありのままに表現できること」と説く。

2010年1月17日から歌壇の選者を担当。季節の変化に敏感か、生活の実感が素直に表現されているか、調べが整っているか、思索的か-。さまざまな角度から投稿作品と向き合い、紙面に掲載する一首を選んだ。歌壇について「他紙の文芸欄と比べても遜色ない充実したもの」と投稿者の熱意に深く感謝する。

■感性磨いて

作品を読み解く中で、時代の変化も敏感に感じ取ってきた。近年は、自然を題材にした歌が減り、内面に潜む孤独や生きづらさ、社会の閉塞感を詠む歌が増えたという。「自然を見つめて歌を作ると、そこに心の慰めが生まれるのではないか」と話し、感性を磨く大切さを指摘する。

5月掲載予定の茨城文芸「年度賞」が選者として最後の役目となる。後任は今月5日から、中根さんと親交の深い同県守谷市の歌人、依田仁美さん(80)が務める。「信頼できる実力者」と太鼓判を押す。

大きな区切りを迎え、今後は一人の表現者として己の道を歩む。「これからは『老年とは何か』をテーマに、一層自分を見つめていきたい」。そのまなざしは、静かに、そして力強く、次なる表現の地平を見据えている。



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