【エンタメ総合】
『ヤングシナリオ大賞』受賞者決定 大賞は生方美久さんの『踊り場にて』

『第33回 フジテレビ ヤングシナリオ大賞』授賞式が開催(C)フジテレビ


 坂元裕二、野島伸司、橋部敦子、浅野妙子、野木亜紀子といった数々の人気脚本家を輩出してきた第33回『フジテレビヤングシナリオ大賞』の受賞者が決定し、応募のあった1978作品の中から、生方美久(うぶかた・みく)さんの『踊り場にて』が大賞に選ばれた。授賞式が25日に行われ、フジテレビの金光修社長より、大賞の生方さん、佳作受賞者の金民愛(きむ・みね)さん、深澤伊吹己(ふかさわ・いぶき)さん、北浦勝大(きたうら・かつひろ)さんに賞状が授与された。なお、大賞作品はドラマ化され同局で放送される。



【写真】大賞を受賞した生方美久さん



 大賞に選ばれた『踊り場にて』は、プロのバレエダンサーを目指し海外で活動していた主人公・美園舞子(29)が、夢を諦め、高校教師として復職し、個性的な生徒達との交流を通して人生を見つめ直し、一歩前に踏み出すヒューマンドラマ。構成、セリフ共に群を抜いており、登場人物たちの点と線がつながっていくストーリー展開の巧みさ。ユーモアのあるセリフの掛け合いとシリアスな感情のシーンとのバランスの妙により、読み終わった後、すがすがしい気持ちにさせてくれる作品であることが高く評価された。



 佳作には3作品、金さんの『消え失せろ、この感情』、深澤さんの『すりーばんと』、北浦さんの『7階エレベーター無しに住む橋本』が選ばれた。



 『消え失せろ、この感情』は、取材のため、ある会社に派遣社員として潜入した女性作家が、会社での人間関係の闇に翻弄(ほんろう)されながらも、その思いを小説にぶつけることで前に進む姿を描く、タイトルのごとく圧倒的な熱量が感じられる作品だ。



 『すりーばんと』は、草野球チームの女性マネージャーが試合に出たいという思いを押し通して出場するものの結果を出せず、リベンジを誓ってがむしゃらに練習する姿に、関わる人々が勇気づけられてゆくというストーリー。軽妙なセリフと独特の空気感で、ポップに描いているところに作者のセンスを感じさせる作品だ。



 『7階エレベーター無しに住む橋本』は、エレベーター無しのマンションの7階に住む主人公の橋本と、同じマンションの住人たち、橋本の気になる女性など、不器用ながら一生懸命に生きる登場人物たちとの心の交流を丁寧に描いた作品だ。



■受賞者コメント



大賞:生方美久さん

脚本家なんて夢を持ってしまうと、どうしても「いつか諦めること」を想像します。何年までに大賞がとれなかったら、一次審査落ちが何回続いたら、と諦めどころを考えます。それでも、とにかく書いて評価してもらわない限り、諦めようもない。自分の実力が明らかになるまでは、諦められない。そう思い、書き続けました。で、ヤンシナ大賞です。それも、諦めたときの心の支えにするために書いた作品で。人生だなァ、と思いました。

私が書きたいのは小説でも漫画でもなく、脚本です。映像になってはじめて完成するエンタメです。今まではパソコンのなかにあるただの文字列でした。それがようやく映像になる機会にたどり着きました。階段をのぼり始めて、まさにちょうど踊り場に着いた感じです。ここからは少し方向を(プロという道に)変え、上へ上へとのぼっていきます。上の階に着くまでは、やっぱり諦められません。趣味にするつもりはありません!



佳作:金民愛さん

この度は、ご評価頂き誠にありがとうございます。

この作品は締切2週間前にBABYMETALの『イジメ、ダメ、ゼッタイ』がYouTubeから流れ(紅白、衝撃的だった)→(紅白と言えば、コロナ感染で辞退したSnow Manの宮舘(涼太)さん、メンバーの中に同じ病院で産まれた幼なじみがいるらしい。すごい偶然!)…【いじめと偶然? そんな感じのプロット作ってた! 書こう!】とひらめき、勢いを頼りに書きました。

主人公も『今、抱えている悩みや不安を基に描いている未来予想は大概外れます。その悩んでいる時間分、本を読みなさい』という、海外で偶然知り合った方からの言葉が基になっております。

どれか一つが欠けても完成せず、偶然を手繰り寄せ集めた奇跡のような作品です。

今後の抱負としまして、憧れている先生は多数いらっしゃいますが野島伸司先生のような社会問題に訴える力があり心に刺さる魅力的な作品が書ける脚本家になりたいです。そのためにも、日々精進して参ります。



佳作:深澤伊吹己さん

昨秋のことでした。脚本家になりたいという夢を抱いてしまって以来、挑み続けたヤングシナリオ大賞で最終選考に残ることができました。うれしくてうれしくて、最終結果を連日ドキドキしながら待ち続けたのを今でも覚えています。結果、受賞には至りませんでした。潔く諦めるのも大事だよ。そんな理由をつけて、今年は応募自体やめるつもりでした。

でも、どうせダメなら自分にとっての「面白い」や「美しい」、そして「くだらない」を詰め込んだ、おもちゃ箱のような作品を書いて踏ん切りをつけるのもいいかもなと思い、『送りバント』というなんとも小さくて、でも大好きな題材を扱ったコメディーを書いてみることにしました。書いてみて良かったです。

ドラマには、人を暗闇から救う明るさがあると思っています。生きづらい世界において、その明るさは生きる希望そのものです。たとえ小さくても誰かの希望になるようなドラマを、これからの人生で追い求め続けたいと思います。この度は、本当にありがとうございます。



佳作:北浦勝大さん

一体何を書けばいいのやら。そんなコロナ禍、鬱屈(うっくつ)した中で書けたのが『7階エレベーター無しに住む橋本』でした。

何かや誰かに触れる方法が見当たらず、これならばと衝動的にUber Eats配達員に登録。意気込みながらも緊張交じりで、あの大きなリュックを背負って向かったそのまさに一件目、エレベーターは点検中でした。うそだろ。目指すは5階。それはそれは果てしない道のりに感じました……。

そんな経験が時を経て、アイデアとなり、結果的にこの作品につながりました。階段の道中は行き場のない怒りと悔しさで一杯でしたが、あの時探していて良かったと思いますし、これからも探し続けたいと思います。

当作品を推して頂いた方、まあ仕方ないかと推してくださった方、ありがとうございます。

私事ながら来春で大学院を卒業します。どうか、よろしくお願いします。お願いします!

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