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『エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~』(C)びばる


 愛する妻と子どもたちのために仕事に打ち込む自称・いい夫。しかし、その家庭は崩壊しかけていた。離婚を回避したい主人公が、自らの過ちに気づくまで抜け出せない“無間地獄”に巻き込まれる姿をサスペンスフルに描くマンガ『エンドレス離婚~もしも結婚生活をやり直せたなら~』が連載中だ。ひと昔前とは変わりつつある現代の家族観を映し出し、各コミックサイトで高評価を得ている本作の作者・びばる先生に話を聞いた。



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■「1人で家庭を回したほうがラク」、離婚を選択して自立する妻たち



──本作の主人公・聡もそうですが、妻から離婚を切り出されてポカンとしてしまう男性はとても多いと聞きます。



【びばるさん】暴力を振るうわけでも、不倫をしてるわけでも、家庭にお金を入れないわけでもないのに「なぜ?」ということですよね。妻・紀子が離婚届を突きつけるときに言う「家のこと何も考えてないくせに、家族の一員になれると思わないで!」というセリフに尽きるのですが、「自分は働いているんだ。専業主婦なんて働くよりも楽なんだから、家のことは完璧にできるよな?」とばかりに、家庭運営の負担をすべて奥さんに押し付けている男性は、今もけっこう多いのではないでしょうか。



──「家事やパートは手を抜いても許されるのに、俺が仕事で手を抜いたらクビ。男は大変だよ」という聡のモノローグが印象的でした。



【びばるさん】口には出していませんが、聡は一貫してそういう価値観なんです。たしかに家庭の役割分担が固定化されていたひと昔前だったら、それでもうまくいっていた夫婦が大半だったと思うんですよ。でも今は「夫婦で協力して家庭運営したい」と考える女性が増えてきていますし、協力してくれないなら「1人で運営したほうが楽だ」と気付いてしまう人もいると思います。



──離婚もネガティブなことではなく、今は「よりいい人生を送るための選択」という価値観になりつつあります。



【びばるさん】私が離婚したときも、友だちがみんな「おめでとう」と言ってくれました(笑)。ただ本作の聡にとっては、愛する家族と日々を過ごすことが「よりよい人生」ということです。タイムリープを繰り返し、バッドエンドにぶつかりながらも、これまで気に止めなかった妻の苦労や孤独に向き合うところは、“いい夫”なのでは? と思いながら描いています。



■“価値観の違い”、無自覚な夫の言動に溜まる違和感…



──子どものいる夫婦にとって、育児や教育は家庭運営の大きなテーマです。それなのに、そのテーマを放棄してしまう聡の無自覚ぶりが気になります。



【びばるさん】セリフにも出てきますが、「そんなもん母親の仕事だろう!」という価値観なんですよね。もちろん子どもたちのことは愛しているし、休日は家族をテーマパークに連れていって幸せを感じます。だけど子育てって楽しいことばかりではないですよね。



──本作では、6歳の娘と9歳の息子が成長の過程でぶつかる生きづらさも、とてもリアルに描かれています。



【びばるさん】だけど残念ながら聡は、そのことを見ていないんです。母親として必死で子どもたちに手を差し伸べる紀子も、自分1人では抱えきれず、聡に何度もヘルプを求めます。だけど聡の価値観では、「“そんなもん”母親の仕事」なんですよね。それでいて息子が引きこもったときには、「叱るのは父親の役目だ」と。彼がどんな問題を抱えているかも知らずに…です。



──それが最悪のバッドエンドにつながってしまいます。



【びばるさん】問題は聡の中に「母親とはこうあるべき」と同じように、「息子はこう育てるべき」という固定観念が根強くあることなんです。お母さんの料理の手伝いをする娘に「いいお嫁さんになるぞ」と言うのも、この娘にとってはぜんぜん褒め言葉じゃないと思います。むしろ幼い娘の無意識の価値観を固定してしまいかねないですよね。



──ひと昔前に、女の子がよく言われたセリフですね。



【びばるさん】娘がどんな人格を持った人間なのかをスッ飛ばして、「娘にはこう育ってほしい」という親の願望を押し付けてたんですよね。ただ、こうした子どもとの向き合い方もひと昔前は「正解」でしたし、聡も紀子も旧来の価値観の親に育てられています。急激に価値観が多様化する今の時代に戸惑ったり、あるいは自分の中の凝り固まった価値観に気付かされたりすることって、この世代にはたくさんあるんじゃないでしょうか。



──この家族がどのような結末を迎えるのか、できればハッピーエンドになってほしいです。



【びばるさん】聡もそこを目指して足掻いています。ただ聡がまだ気づけていない家族の問題もこれから描いていく予定なので、彼には申し訳ないですが、まだまだ苦しみはしばらく続きます(笑)。

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