" /> 【映画】リリー・フランキー×錦戸亮、初共演映画で「すごい」「ずるい」と称え合う 10年以上前からプライベートで親交


【映画】
リリー・フランキー×錦戸亮、初共演映画で「すごい」「ずるい」と称え合う 10年以上前からプライベートで親交

(左から)錦戸亮、リリー・フランキー(撮影:たむらとも)(C)ORICON NewS inc.


 日本人キャストとイギリスの新鋭監督パトリック・ディキンソンによる日英合作プロジェクト『コットンテール』が、きょう1日より公開される。東京からイギリスへと舞台を移しながら、家族の愛と再生を紡ぎあげたロードムービー。心を閉ざしてきた不器用な父をリリー・フランキー(60)、ずっと顧みられなかった息子を錦戸亮(39)が演じている。プライベートで親交があったものの、俳優としては今作が初共演。互いの仕事ぶりを称えあった。



【インタビュー動画】リリー・フランキー&錦戸亮、親子役初共演の2人を深掘り!コロナ禍での撮影は「お姫様みたい」!?



――知り合ったきっかけは?



【リリー】共通の知り合いがいて、飲み屋で一緒になったんだよね。



【錦戸】そうですね。共通の知り合いが先に帰ってしまった後、2人で飲み続けて。初めましてだったのに(笑)。



【リリー】それから『コットンテール』でご一緒するまで10年以上かかっているよね?



【錦戸】初めてお会いしたのは僕が24歳ごろでした。



【リリー】そんなに経つ?



――いつか一緒に仕事したいね、といったお話は?



【リリー】全然してない(笑)。錦戸くんとは楽器の話とか、音楽の話ばかりしているよね。



【錦戸】そうですね。



【リリー】お互いに連絡取り合って飲み行く、という感じでもなくて。だけど自然に、何となく会っていた感じですね。



――今回の共演が決まった時は?



【リリー】淡々としていたよね(笑)。



【錦戸】そうですね。



【リリー】コロナ禍だったこともあって、本読みもリモートだったしね。撮影でロンドンに行く直前も、「最近、ギター買ったんだって?」みたいな全然違う話をしてたよね。たぶん性格的に作品について熱く話し合うタイプじゃないんでしょうね。意気込みみたいなのをあえて話さない。「これから、撮影、よろしくな」なんて言って握手したりしない(笑)。



【錦戸】そんなふうに気持ちを伝えるのは小恥ずかしいですよね(笑)。ですが、今作にも出演している木村多江さんと共演された映画『ぐるりのこと。』や山田孝之さんと共演していた『凶悪』など、リリーさんが出られている作品を、僕はいつも「いいなぁ」「こんなん、ずるいな」と思いながら見てきました。なんて言ったらいいのだろう、リリーさんしか持っていない独特の空気感があって。そんなすてきな俳優さんとご一緒できるのは、純粋にうれしかったです。



【リリー】錦戸くんが出ている作品を僕も見てきたけど、完成した今回の映画を見て改めて「すごいな、この人」と思いましたね。撮影している時はあまり意識していなかったんだけど、慧(トシ※錦戸の役名)が、大島家がどんな家族だったのか、父親や亡くなった母親と息子の関係を全部説明してくれていたんだよね。それを台詞や物語の装置に頼らず、母親に対する思い、父親に対する思いを慧のたたずまいでわからせる。すごいなって。



【錦戸】すべて、パトリック監督の演出です。



【リリー】慧はパトリック監督なんだよね。パパに対していろいろ思うことがあるみたいで、自分の思いを錦戸くんに演じてもらいたい、というがすごくあったんだと思う。



■リリー・フランキーが演じるだけで成立するすごさ



――さきほど、錦戸さんがおっしゃっていた、リリーさんの出演作を見て、「こんなん、ずるいな」と思う気持ちに共感します。いつも役づくりはどうされているのですか?



【リリー】監督に言われたらする。特に言われなければしない。吉田大八監督の『美しい星』(2017年)に僕が出てて、吉田監督の次の作品が錦戸くん主演の『羊の木』(18年)だったんだけど、大八さんに、「○○しておいてくれ」って言われなかった?



【錦戸】役づくりについてですか?僕は何も言われなかったです。



【リリー】僕は大八さんから「痩せといてください」って言われたんですよ。まぁ、そういうことを言われれば、するというか。自分で役づくりをしたところで、監督のイメージと沿わないのが一番良くないから、なるべく余計なことはしないでおこうと思っています。それに、これはマジな話で、ネクタイを締めて会社に行くような役をしたことがほぼないんです。たぶん、そういうイメージが僕以上に監督やプロデューサーにないんでしょうね。



【錦戸】いい人に見えて、実はめっちゃ悪い人の役とか、ニヒルに笑っているとか、そういうイメージの方が強く残りますしね。



【リリー】『アナログ』(23年)という映画で、静かにコーヒーを淹れているだけの喫茶店のマスターの役をやったんだけど、せりふもほとんどなかったせいか、「こいつ、いつか何かやりそう」ってミスリードされた人が多かったと聞きましたね(笑)。



【錦戸】そもそもリリーさんにオファーしている時点で、役づくりはいらないじゃないですか?リリーさんにやってもらうだけで成立するんだと思います。大八監督の時は、見た目ちょっと痩せてたらうれしいなみたいなことだったんでしょうね。



――パトリック監督からは何かありましたか?



【リリー】パトリック監督はなかったですね。台本はあくまで設計図で、台本が全てじゃないと言っていたし、それぞれの役を演じる俳優自身から出てくるものを待っていた感じ。錦戸くんの慧はまさにそういうことなんだと思う。



――監督はどんな方でしたか?



【リリー】めっちゃ穏やか。



【錦戸】優しいです。



【リリー】本当に優しいし、すごく礼儀正しい。いま思うと、パトリック監督とカメラマンのマーク(撮影監督のマーク・ウルフ)さんって、毎日、絶対襟付きの服で現場に来ていたよね。イギリスでの撮影していたのは、(2021年の)真夏だったんですけど。



【錦戸】確かにそうですね。



【リリー】イギリスといえばジェントルマンのイメージがあるしね。なんか古風なんだよね、パトリックは。日本人が忘れてる礼儀正しさがある。錦戸くんも古風なんですけど、ちょっと違う感じで古風。



――錦戸さんが古風というのは?



【錦戸】僕、古風ですか?僕はわからないですけど…。



【リリー】イギリスに行った時、自分でごはん炊いていたところとか。



【錦戸】自炊はしていましたね。



【リリー】撮影現場のケータリングの料理が「おいしかったよ」と言っても、「拙者はこれで結構」みたいな感じで、自分で握ったおにぎりを食べていた。時々、パトリック監督の分も握ってきて。そういうところ、ちょっと侍感ありましたね。



――仕事で海外に行く時はいつも?



【錦戸】渡航前にある程度調べて、滞在するホテルの近くに和食レストランがあるなら日本食は持って行かないですけど、今回はコロナ禍で隔離期間(5日)もあったし、絶対にお米が食べたくなると思って持って行ったんです。



【リリー】日本に帰るまでにお米を食べ切ろうとしてんだよね。



【錦戸】食べ切りました(笑)。



――また一緒にものづくりがしたいですか?



【錦戸】もちろん!次は親子じゃない役で、という思いと、もう1回親子役でもいいなという思いもあります。



【リリー】一緒に作品つくりたいですよね。今回はすごくシリアスな親子だったので、次はバカ親子もいいかもね。



■映画『コットンテール』について



 パトリック・ディキンソン監督は、学生時代にオックスフォード大学と早稲田大学で日本映画を学び、日本に非常に造詣が深く、今回、自身の母親を看取った経験を元に日本人男性を主人公にした脚本で長編劇映画デビューを飾った。



 長年人生を共に歩んできた妻・明子(木村多江)に先立たれた兼三郎(リリー・フランキー)は、明子の「イギリスのウィンダミア湖に遺灰を撒いてほしい」という最後の願いをかなえるため、長らく疎遠だった息子の慧(錦戸亮)とその妻・さつき(高梨臨)たちとイギリスへと旅立つ。しかし、互いに長年のわだかまりを抱えた兼三郎と慧はことあるごとに衝突し、兼三郎は単身ロンドンから湖水地方に向かうのだが、途中、道に迷い、途方に暮れる羽目に。やがて兼三郎は亡き妻に導かれた旅の果てに、人生の最も大切なことと向き合っていく。