【エンタメ総合】
【スニーカー解説】プレ値取引→転売需要へ 「一億総転売ヤー時代」スニーカー投資が普及した理由

二次流通で特に高額がついているモデル「AIR JORDAN1 RETRO HIGH THE TEN CHICAGO」


 スニーカーをあらゆる側面から解説した『スニーカー学』(KADOKAWA刊)が発売された。著者は、スニーカーショップ「atmos」創設者で、スニーカービジネスの表と裏を知り尽くす業界のキーパーソンとしても知られる本明秀文氏。二次流通、プレ値、SNS消費 インバウンド 投資 NFT 真贋鑑定 コラボ テック系といったキーワードをもとに、スニーカーブームのからくりや、「投資財」としての役割なども解説する。同書から、スニーカー投資について解説した内容を、一部抜粋して紹介する。



【表】スニーカーで得た利益は…



■手軽にはじめられる投資対象としてのスニーカー



 それにしてもなぜ、これほどまでスニーカーが投機的なアイテムとして扱われるようになったのでしょうか。その流れが起こったのは2014年頃。たった1年の間で国内出荷市場規模が売上ベースで22.1%増になるほどブームが加速していきました。



 その結果、手に入らない人が続出し、プレ値で取引されることで転売需要が誕生。二次流通の仕組みも整ったことで投資商品としてスニーカーが扱われはじめ、TVの情報番組や週刊誌などでも「スニーカー投資」という言葉が漏れ聞こえてくるようになりました。



 これらは、かつてのエアマックスブームを思わせる流れでもありますが、大きく違う点があります。90年代のスニーカーブームでは並行輸入店や古着店など、店舗を構えているプロのディーラーたちが売買の主役であり、ユーザーの購入動機もあくまで自分が履くことが目的でした。しかし、2014年以降の第二次ブームではユーザー同士がオンラインを通じて売買をおこない、スニーカーはお金が儲かるからこそ買うものだ、という意識へと変わっていきました。



 2022年の夏に「between the arts」という会社が投資経験のある日本人約2500人を対象に第三者視点でおこなったアンケートでは「スニーカー投資に興味がある」と答えた人は全体の約43%で、そのうち10%弱が既に投資したことがある、と答えています。



 それほどまでにスニーカー投資が普及した理由のひとつに、大学生のお小遣いのような少額からでも参加でき、ローリスクということが挙げられます。不動産投資ではローンを組んだりする必要もありますし、FXなどもリターンが大きいぶんリスクも大きくなります。なにより、投資には知識が必要です。しかし、スニーカー投資であれば趣味の延長線上で気軽に参加できますし、仮に一次流通の抽選に外れたとしてもお金を失うわけではありません。また、自分が手に入れたスニーカーがハイプしなかったとしても、履いて楽しめばいいだけです。



 実際に「アトモス」の店舗で抽選に並んでいた顧客の多くは、10代から20代前半の若者が中心です。彼らの多くは朝起きたらまずSNKRSで人気モデルの発売日と限定オファーが来ていないかチェックし、空いた時間を使って友人たちと一緒に抽選の列に並ぶ。それで運良く購入できて数万円の利益が出たらラッキーという感覚で、気軽にスニーカー争奪戦に参加していました。



 現在ではインターネットを検索すればどのスニーカーがいくらで販売されているか一目瞭然ですし、「メルカリ」や「ヤフオク」といったオークションサイトに加え、「SNKRDUNK」や「StockX」などの専門の鑑定士を擁するサービスも次々に立ち上がり、誰でも個人間で売買ができる二次流通システムが整っています。



 もちろん本気でスニーカー投資だけで生活をしようと思うならば、ハイプするスニーカーをたくさん入手する努力や資金だけでなく、後述する転売屋のように組織化する必要も出てきます。しかし「好きなものを買って小遣い稼ぎをしたい」という程度であれば、せどりや転売に関するちょっとした知識さえあれば、専門知識が無くても参入できる手軽さもスニーカー投資の普及に拍車をかけています。



 値上がりする商材を見抜く知識や入手するための努力、それを高く売る工夫といったスニーカー投資で学べる物事は、あらゆるビジネスにも共通することでもあります。



 とかくお金儲けに関することに対して眉を顰ひそめる人は多いものですが、若者が少額からでも投資や商売について学べることは非常に有益だと思っています。



 二次流通が身近になった現代は、“一億総転売ヤー時代”とも言えます。



■本明秀文プロフィール

atmos創設者。元Foot Locker atmos Japan最高経営責任者。1968年生まれ。90年代初頭より、米国フィラデルフィアの大学に通いながらスニーカー収集に情熱を注ぐ。商社勤務を経て、1996年に原宿で「CHAPTER」をオープン。2000年に「atmos」を開き、独自のディレクションが国内外で名を轟かせ、ニューヨーク店をはじめ海外13店舗を含む45店舗に拡大。2021年8月、米国の小売大手「Foot Locker」が約400億円で買収を発表。スニーカービジネスの表と裏を知り尽くす業界のキーパーソン。

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