【映画】
河合優実主演、映画『ナミビアの砂漠』カンヌ・国際映画批評家連盟賞受賞「言葉にし難いうれしさ」

カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した映画『ナミビアの砂漠』の山中瑶子監督(C)Kazuko Wakayama


 俳優の河合優実が主演を務めた山中瑶子監督の映画『ナミビアの砂漠』が、フランスで開催された「第77回カンヌ国際映画祭」で、国際映画批評家連盟賞を受賞した。27歳の山中監督は、女性監督としては最年少受賞の快挙となった。



【動画】カンヌで拍手に包まれた河合優実



 山中監督は、19歳で撮影、初監督した『あみこ』(2017年)がPFFアワードで観客賞を受賞、その後第68回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に史上最年少で招待されるなど、各国の映画祭で評判となった。『ナミビアの砂漠』は、山中監督の本格的な長編第1作となる。



 今回、将来有望として選出された作品を紹介する監督週間部門に招待された同映画は、河合演じる21歳のカナの物語。将来のことを考えるのはあまりに退屈で、自分が人生に何を求めているのかさえわからないカナは、何に対しても情熱を持てず、恋愛ですらただの暇つぶしに思っていた。同棲している彼氏のホンダは、家賃を払ったり料理を作ったりしてカナを喜ばせようとする。しかし、自信家のクリエイター・ハヤシとの関係を深めていくうちに、カナは彼を重荷に感じ始める――といった内容。



 国際映画批評家連盟は受賞理由を「21世紀の日本を生きる登場人物たちの間に絶え間なく存在する距離を捉え、それらのイメージを通して、現代における神経多様性を大胆不敵に探究している」と挙げている。



 国際映画批評家連盟賞は、FIPRESCI(国際映画批評家連盟)によって選ばれ、1946 年から授与されている賞で、過去にはヴィム・ヴェンダース監督『さすらい』(76年)、『パリ、テキサス』(86年)、スティーヴン・ソダーバーグ監督『セックスと嘘とビデオテープ』(89年)、ケン・ローチ監督『リフ・ラフ』(91年)、『大地と自由』(95年)、アキ・カウリスマキ監督『ル・アーヴルの靴みがき』(2011年)など、錚々たる世界の名匠たちの作品も受賞している。



 日本映画としてはこれまで小栗康平監督『死の棘』(1990年)、諏訪敦彦監督『M/OTHER』(99年)、青山真治監督『EUREKA』(2000年)、黒沢清監督『回路』(01年)、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』(21年)と5作品が受賞。『ナミビアの砂漠』の受賞は、濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』に続く快挙となった(※( )内は受賞年)。



 現地時間17日にシアタークロワゼットにて行われた2回の公式上映には、主演の河合やハヤシ役の金子大地、ホンダ役の寛一郎も立ち会ったが、授賞式には山中監督のみが登壇。「映画を作るとき、まだ感覚に頼るところが大きいのですが、いっぱい勉強して、もっとうまく映画を作れるようになりたいです。まず自分のことを大切にしてから、次に周りの人、そしてそれが全くの他人に届くように、日々優しくありたいです」とスピーチした。



 『あみこ』を観て女優になりたいと思い、山中監督に「いつか出演したいです」と直接伝えに行ったというエピソードを持つ河合は、受賞の一報を受け、「言葉にし難いうれしさです!これを最高のプレゼントとして、これから私たちの映画が世界中に自由に羽ばたいていきますように!」とメッセージを寄せた。



 『ナミビアの砂漠』は今年の夏に日本で公開が決定している。



■山中瑶子監督 登壇時コメント



 ありがとうございます。パリに旅行に行っていたのですが、こんなにすぐにまた再びカンヌに戻って来られるとは、うれしいです。そしてとてもびっくりしています。このような賞をいただきありがとうございます。監督週間、そして私の映画のスタッフ、キャストのみなさんに感謝を伝えたいです。映画を作るとき、まだ感覚に頼るところが大きいのですが、いっぱい勉強して、もっとうまく映画を作れるようになりたいです。まず自分のことを大切にしてから、次に周りの人、そしてそれが全くの他人に届くように、日々優しくありたいです。ありがとうございます。



■河合優実のコメント



 本当に本当におめでとうございます!これまで国際批評家連盟賞に名を連ねてきた素晴らしい作品たちに『ナミビアの砂漠』がならぶこと、言葉にし難いうれしさです!この映画を発見してくれたカンヌ国際映画祭と、この度賞を授けて下さった審査員の方々、そして改めて、この作品に力を貸してくれた全ての人にいま最大限の感謝をしたいです。これを最高のプレゼントとして、これから私たちの映画が世界中に自由に羽ばたいていきますように!



■金子大地のコメント



 山中監督、そしてこの映画に関わった全ての方々、受賞、おめでとうございます!本当にうれしいです。先日のカンヌ映画祭登壇の興奮がいまだに醒めない中、こんなうれしい報告を聞くことができて幸せです。このチームで作品を作れた喜びを改めて噛み締めています。日本での公開、どうぞ楽しみにしていてください。多くの方に今作が届くことを願っています。



■寛一郎のコメント



 受賞おめでとうございます!カンヌに行けるだけではなく、賞までいただけるとは…。すごくいいチームで作れた作品だと映画祭を通して再認識しました。そんなチームで作った作品が、こうやって顕著に結果として現れてくれたこと、とても名誉なことだと思います。山中監督おめでとうございます。



■山中監督、現地での囲み取材時のコメント



 今回の映画は、ジャン・ユスターシュ監督の『ママと娼婦』に影響されて作ったところがあるのですが、『ママと娼婦』もコンペティション部門ではありますが同じ賞をもらっていますし、日本の監督でも私の尊敬する方たちがいただいてきた賞なのですごくびっくりしています。受賞が決まった時に、グループLINEで、「批評家(連盟賞)だ!」とキャストたちに送ったのですが、本当にみんなで称え合いたいと思っています。

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