【デスク日誌】従順でない生き方こそ
イチョウが色づく季節になると、京都御苑を思い出す。白砂利を黄色く染める光景に圧倒された覚えがある。大学3年、1989年のことだ
▼この年、世界では自由を希求する歴史的な動きが続いた。ベルリンの壁が崩壊したのは11月だ。だが、日本はバブル経済の真っただ中。数年後に見せかけと気付かされる繁栄と祝祭気分に包まれていた
▼ロックバンドのエコーズは88年発表のアルバム収録曲「フリーダム」で、縛られることに慣れ過ぎ、制約から抜け出せない若者の苦悩を歌った。〈豊かなこの国の中で どれ程のことが僕らに 許されているのか〉
▼政治学者の将基面貴巳さんは著書「従順さのどこがいけないのか」で、権威や多数派に無批判に従うのではない生き方こそ大事と訴える。「一つひとつの選択とは…真の『自分』へ一歩一歩踏み出すことです」(報道部・川崎勉)