【デスク日誌】200年前、富士登山の旅

さしま茶の製茶販売を営む「丸太園」(古河市東諸川)の鈴木家に伝わる古文書を紹介する企画展が21日まで、同市三和資料館で開かれている。同家の鈴木松蔵は1828(文政11)年6月、富士登山の旅に出た。会場では、旅の記録が詳しく解説されている

▼8日に東諸川を出発し、甲州街道を経て、15日に富士山登頂。下山後、東海道側に抜け、鎌倉で鶴岡八幡宮などを参拝、江戸を散策し、21日に帰宅した。13泊14日、道のりは400キロ超

▼表向きこそ山岳信仰の巡礼だが、好奇心に満ち、商売や人脈の拡大にも直結している。交通手段は徒歩。わずか2週間でも体験は濃厚だろう。歩く価値についても深く考えさせられる

▼展示の古文書に、山岳信仰の関係者でやはり製茶販売を営み、古河で永井屋を構えた長井八郎治の名があった。作家の永井路子さんの先祖だ。(報道部・冨岡良一)