【デスク日誌】笑顔あふれる学校こそ

「信用することの大切さを子どもたちに伝えるべき教育現場で、他人を警戒しなさいと教えるのは本当につらい」

▼二十数年前、当時の県教育長は複雑な表情で語った。子どもが巻き込まれる事件が発生するたび、県教委は対応に追われる。残念ながら、教員絡みの不祥事も後を絶たない。それでも、常時監視される息苦しさは学校に似合わない

▼中高生の部活動でも時に、「指導」という名の暴力的言動が表面化する。被害を受けた生徒が大人への不信を募らせても不思議ではあるまい。資質に疑問を抱かせる教員の存在は、誰であれ記憶にあるに違いない

▼ルポライターの鎌田慧さんは著書「生きるための学校」の中で記した。「自由な、民主的な…そして、ひとりひとりの人間を大事にする笑顔にみちた学校。それは夢想だろうか」。30年以上前の問いが重く響く。(報道部・川崎勉)