【デスク日誌】「行を省みる者」の備え
「自分はここで死ぬから置いていってくれ」。15年前のあの日、那珂川河口近くで暮らす高齢女性は、そう言って自宅から離れようとしなかった。女性を無理やり抱えて逃げた男性から後になって聞かされた
▼津波は沿岸を襲い、記者も危うく難を逃れた。その後訪れた避難所で見た、うつろな視線を漂わせる住民の姿は忘れられない。被害状況が分からず、どれだけ不安を募らせただろう
▼東日本大震災から15年目の春を迎えようとしている。起きたことは忘れようもないが、私たちは震災から何を学び、これから何が必要なのか。今も問いは続く
▼古代中国の歴史書は「行を省みる者は其(そ)の過ちを引かず」と説く。自らの行いを反省する者は、同じ過ちを繰り返さないという意味だが、過去の反省を生かし自然災害にどう備えるべきか。少なくとも無力ではいられない。(報道部・大平賢二)









