2018年6月21日(木)

【論説】国会延長 政権の自己都合だ

安倍政権が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案などを成立させるため20日までの国会会期を約1カ月延長させた。

国民にとって必要不可欠であると野党にも評価された法案のためであれば延長も理解できる。しかし、安倍政権が今後、成立を目指す法案には野党が強く反対しており、世論にも慎重論が多い。延長は政権の「自己都合」と言わざるを得ない。

安倍政権は昨年、学校法人・森友、加計学園問題の真相を解明するために野党が憲法に基づいて求めた臨時国会開催には3カ月も応じず、衆院を解散するためだけに9月に召集。森友問題などの審議をしないまま総選挙に突入した。

日本国憲法が定めるように国会は「国権の最高機関」であり、政権の下部機関ではない。政権の意のままに延長したり、召集しなかったりすることは議会制度の空洞化を招く。延長国会では野党が反対する法案を徹底的に審議し、森友、加計問題の真相解明に積極的に取り組むことが当然なされなければならない。

そもそも、この国会の会期が足りなくなったのは森友、加計問題を巡る野党の追及に対して安倍晋三首相はじめ関係者が説得力のある答弁をせず、ないとされていた文書が次々に出てくるなど安倍政権が誠実な姿勢で臨まなかったためだ。

さらにIR整備法案や高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」創設などを柱とした働き方改革関連法案では衆院段階で採決を強行した。

触れられたくない問題では不誠実な答弁を繰り返して時間を空費し、時間が不足してくると今度は「数の力」で野党の抵抗を押し切り、揚げ句の果ては延長する。国会は熟議の場であると同時に政権を巡る政権と野党の攻防の場でもある。しかし、自己都合にも限度がある。

働き方法案は現在、参院厚生労働委員会で審議されており、与党は週内にも採決に持ち込みたい考えだ。政権が成長戦略の柱と位置付けるIR整備法案は延長前に衆院を通過しており、延長会期内に参院審議入りする。

安倍首相は延長に先立ち、自民党の臨時役員会で「政府として『働き方改革国会』にしっかり対応したい。IR整備法案は観光大国にするための大事な法案だ」と述べたが、森友、加計問題に関する率直な反省の弁はない。

延長を求めた公明党の山口那津男代表に至っては「野党による不信任決議案の乱発が審議の遅れにつながった」と野党の対応を批判しており、延長国会はさらに対決色が強まりそうだ。

通常国会の会期延長は安全保障関連法を審議した2015年以来だが、昨年10月の衆院選で自民党が大勝して以降、国会運営上のおごりがさらに強まった。

突然、「国会にも選挙結果を反映させるべきだ」として与野党の質問時間の配分見直しを要求、衆院予算委員会では慣例で「野党8、与党2」だった割合を変えたのだ。

内閣提出の法案は事前に与党の了承を得ており、党議拘束がかかることから与党質問で問題点が指摘されることはまれという実態を無視した行いだった。

「安倍1強」が議会制度をもむしばみつつあることを憂う。

2018 年
 6 月 21 日 (木)

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