2017年7月24日(月)

【論説】24、28年五輪 経営と理想の調和を

五輪開催立候補都市のパリとロサンゼルスを2024年と28年に振り分け、一括選定する手続きが国際オリンピック委員会(IOC)の臨時総会で承認された。背景には長期的に安定した五輪開催を続けたいとの経営的な判断がある。

都市インフラも競技施設も整い、国際的な大会を数多く開催している大都市が好ましいとするバッハIOC会長の現在の考えに、両都市はぴたりとはまる。

IOCは本来、今年9月の総会で24年大会だけの開催都市を選定する予定だった。ところが、正式立候補していたローマなど3都市が市民の支持を得られないとして、招致を途中で断念した。

残ったのはパリとロサンゼルス。当然ながら、どちらかが当選し、一方は落選する。2都市とも開催能力が高いのに、もったいないと思いながらも、これまでのIOCなら、それで終わっていた。

しかし、バッハ会長は頭をひねった。「われわれは過去にあまりにも多くの敗者をつくり出した。今回の2都市は実に素晴らしい。千載一遇の好機だ。28年大会と一括して選定できないか検討しよう」と呼び掛けた。

五輪憲章は特別な事情がない限り、7年前に開催都市を選定するとしている。28年大会の都市まで選ぶとなると11年前となり、憲章に抵触する。

そこで弁護士資格を持つバッハ氏はやはり弁護士資格のある副会長、さらにIOC顧問弁護士と相談を重ねたようだ。考え出されたのが、IOCと2都市の3者間合意が成立した場合には、7年前規定の適用例外条件である「特別な事情」に相当するとの解釈だった。

3者協議で合意するには、2都市のうちどちらかが24年を断念し、28年に回ることを了承しなければならない。

パリは1924年大会を開催しており、100年ぶりの大会をぜひ実現したいと訴えてきた。新設する選手村は大会後直ちに民間住宅として市民に供給する計画だ。28年への先送りは、受け入れられないとの立場だ。

一方、ロサンゼルスは柔軟な姿勢をのぞかせる。IOCのあらゆる差別に反対し世界的な協調を目指す理念と、かなり隔たりのある考えを持つトランプ大統領が24年大会の招致活動で大きなマイナス要因となっていた。

24年大会だけの開催都市選定なら、パリに大差をつけられて敗れていただろう。その意味で、異例の一括選定で最も利益を得るのはロサンゼルスとも言える。

ビジネスの世界でパートナーがともに利益を得るとの意味で使う「ウィン、ウィン」をもじって、バッハ会長はIOCも2都市も勝者になる「ウィン、ウィン、ウィン」だと、異例の手続きのメリットを強調した。

4年間の1サイクルで約7千億円の収入を見通すようになったIOCは、放送権者からもスポンサー企業からも信頼される安定した経営を目指さなければならない。そうした事情は分かる。

それでも、東京が2回目、パリが3回目、ロサンゼルスも3回目となる、こうした「常連」だけで五輪を回していて良いのか。

IOCは3年前に、複数の国と都市の連携による共同開催を容認する新しい考えを打ち出したではないか。理想の実現にも力を注ぎ、安定経営とのバランスを取るべきだ。

2017 年
 7 月 24 日 (月)

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