2016年8月25日(木)

【論説】日中韓外相会談 平和と安定へ協力を

日中韓外相が東京で会談し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題に関して同国に挑発行為の自制を要求し、3カ国の連携強化を確認した。3カ国首脳会談の日本での年内実現に向けた協力や自由貿易協定(FTA)交渉の推進などでも一致した。日本での日中韓外相会談の開催は約5年5カ月ぶり。経済や環境など幅広い分野での協力や地域・国際情勢について、率直かつ前向きに協議できたことを歓迎したい。

日中の尖閣問題など2国間の対立はあるが、日中韓3カ国は未来志向で大局を見据えて関係を改善・強化し、アジアと世界の平和と安定のために協力すべきだ。

北朝鮮は日中韓外相会談が行われた24日早朝、日本海に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。

岸田文雄外相は会談で「断じて容認できない」と連携を呼び掛けた。韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は「北朝鮮の脅威に団結した対応が重要だ」と応じ、3外相は国連安全保障理事会の制裁決議の順守を各国に求めていくことを確認した。

核実験やミサイル発射を繰り返す北朝鮮は東アジアの深刻な不安定要因であり、同国の挑発行為は決して容認できない。日中韓は結束し、米国やロシアなどと共に北朝鮮に核兵器開発の停止を強く促していきたい。

経済面では、中国の経済成長の減速や、英国の欧州連合(EU)離脱決定など、世界経済の不確定要素が増す中で、FTAや地域経済圏づくりで経済の活性化を目指す方針を確認した。

戦後70年を迎えた昨年夏までは、中韓両国が歴史問題で共闘し、安倍政権をけん制する図式だった。しかし、日韓が従軍慰安婦問題の解決に合意する一方で、日中は中国の強引な南シナ海進出を巡って激しく対立した。

今月に入って、沖縄県・尖閣諸島周辺で中国の公船が頻繁に領海に侵入。日中関係はさらに悪化し、岸田外相は中国の王毅外相との個別会談で、改めて抗議した。

また、中国は米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備が自国の安全保障を脅かすとして、7月の米韓の配備発表に強く反発。王外相は尹外相との個別会談で改めて配備撤回を要求し、日米韓と中国がにらみ合う構図が鮮明になった。

岸田外相は共同記者発表で「日中韓にはさまざまな懸案があるが、政治的英知を持って乗り越え、協力を進めることが重要だ」と述べ、王外相も会談で「歴史を直視し、未来に向かう精神に基づき、困難を乗り越え、協力の正しい方向を維持するべきだ」と語った。

北朝鮮の核問題に加え、地域の経済や環境、テロ対策など日中韓の協力が必要な課題は多い。各国は小異にこだわらず大同団結を図るべきだ。

来月初め、安倍晋三首相は中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会合に出席、習近平国家主席と会談する見通し。岸田外相は王外相との会談で、尖閣の状況が改善すれば、この首脳会談などを通じて関係改善を進めたいと述べた。

尖閣問題で日中関係は著しく悪化したが、2014年11月、両国は問題の話し合い解決と関係修復に合意した。合意を実施に移し、両国の信頼関係を回復することは、日中両国首脳に課せられた歴史的な責務といえよう。

2016 年
 8 月 25 日 (木)

メニュー
投稿・読者参加
サービス