2018年2月24日(土)

【論説】2018年度茨城県予算 「新しい茨城」へ第一歩

茨城県の2018年度当初予算案が発表された。一般会計の総額は約1兆1117億円で、17年度当初とほぼ同額。昨年9月に就任した大井川和彦知事が編成した初の当初予算で、東日本大震災から7年が経過して震災関連の予算が減少する一方、「新しい茨城づくり」政策ビジョンで掲げた四つのチャレンジに沿って、成長企業の誘致や医師確保などの事業に重点的に予算を配分し、震災関連分を除くと同1・3%の増額となった。

予算規模は過去5番目に多い額。過去最大は15年度の約1兆1613億円だが、震災関連分約1305億円を除くと約1兆308億円となり、18年度の震災関連分約626億円を除いた約1兆491億円と比べ183億円下回る。

予算編成に当たっては、逼迫(ひっぱく)した予算の有効活用を狙いに17年度まで15年間続いたマイナスの予算要求限度額(シーリング)を廃止。一方で要求上限額を設けない「知事特認枠」の新設や事務事業のスクラップ・アンド・ビルドに努め、施策の「選択と集中」を進めた。点検した約2000の事務事業のうち207事業を見直し、事業の休廃止や縮減などで約18億円の削減を図った。財政の健全度を示す基礎的な財政収支(プライマリーバランス)は18年度当初ベースで227億円となり、14年度から連続で黒字を維持する見通し。

知事が掲げた四つのチャレンジは、雇用創出を狙いに産業を育成する「新しい豊かさ」▽抜本的な医師確保策を推進する「新しい安心安全」▽新時代に適応できる教育の推進と環境の充実を目指す「新しい人財育成」▽観光創生や魅力度向上を図る「新しい夢・希望」。それぞれの実現に向け各分野で新規事業を立ち上げ、または既存事業の拡充を図った。

中でも、企業誘致に関してはIоT(モノのインターネット)など新たな成長分野の研究所・本社機能等の県内移転に対する支援制度を設け、本社機能などの移転に対して上限50億円の補助を設定した。長年懸案の医師確保策は、県外からの医師確保強化事業を新たに立ち上げ、医科大学との新規の協力関係の構築に取り組むほか、県内高校出身の医学生を対象にした医師修学資金の新規貸与者を従来の10人から20人に増やす。宿泊施設立地促進策としては、県内の新たな旗艦ホテルなどの誘致を狙いに土地や建物、設備の投資額の原則5%(上限5億円)補助など、目玉事業に大胆に配分した。

知事は、初の当初予算編成に合わせて大幅な組織改革も断行する。知事直轄の政策部門などを廃止し、政策の立案機能を新設の「政策企画部」に集約。企業誘致や観光誘客、県産品の販路拡大など、国内外への本県の売り込みを図る部門を一体化し「営業戦略部」を新設する。医師など医療の人材確保に向けては、保健福祉部内に新たに「医療局」を設けた。

限られた予算の中から必要な事業に重点配分し、組織と人材を整えた。10年先の活力ある茨城づくりを見据え、人口減少と超高齢化が進展する中で「茨城に住みたい、住み続けたい人」を増やすための第一歩と位置付ける。県内は「南北格差」に象徴される人口などの地域間格差が顕著となる中で、各地域の特性や事情に応じた施策の展開が欠かせない。そのためには、市町村や関係各機関と課題解決に向けた意識を共有し一体となった取り組みが求められる。

2018 年
 2 月 24 日 (土)

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