2017年5月23日(火)

【論説】県教委ネット利用調査 真偽見極める教育重要

大学で話を聞くと、多くの学生が新聞をあまり読んでいないという。ある有名私立大学の教授は、新聞ばかりでなく、テレビ離れも進んでおり、メールでのやりとりもまれになってきていると指摘する。ネットで好みの情報を得、動画を楽しみ、メールの代わりにLINEやツイッターで情報の交換や拡散、会話的なやりとりをしているのが今どきの学生の一般的な姿である。こうした世界にかなりの時間が費やされ、新聞やテレビなど既存メディアの存在感は薄れる一方だという。

ネットは確かに便利で、多様な情報を取得でき、自ら発信することができる。一方で怪しい情報も少なくない。例えば、新聞離れが進む米国では、先の大統領選で偽情報の拡散が大きな問題となった。「ローマ法王がトランプ氏を推薦した」といった偽情報がネットで拡散し、それを信じた有権者が少なくなかったとされる。真偽の分からぬ情報で政治や社会が動くことになりかねない怖さが明らかとなった。

ネットは今や若者の社会を席巻している。低年齢化が進み、情報の真偽だけではなく、さまざまな問題が生じている。県教委が昨年12月、県内公立小中高生を対象に行った携帯電話とインターネットの利用調査によると、スマートフォンを中心に高校生の97・6%、中学生の59%、小学5、6年生の34・3%が携帯電話を所有。ゲーム機を含めたネット利用者は高校生95・3%、中学生93・4%、小学5、6年生の87%に上った。

平日の利用時間は1日1〜3時間が多く、前回3年前より長時間化傾向にある。休日は平日よりさらに多くの時間を割き、高校生の21・8%、中学生の15%、小学生の8・4%が5時間以上利用と答えている。小学生は動画やゲーム、中学生は動画、音楽、コミュニケーション、高校生はコミュニケーション、情報検索、動画が利用目的の上位を占めた。

問題は日常生活への影響である。「勉強をする気になれない」が小中高ともトップを占め、「ネット使用をやめられない」、外出や睡眠時間の減少、疲労感などを挙げる子どもが多かった。ネット依存が強まり、勉強や健康への影響が明らかになってきている。

こうして育まれたネットとの関係が大学、社会へとつながっていく。子ども時代に覚えた味はそう簡単には断ち切れまい。スマホ片手にネットの世界で多くの時間を割かれ、新聞やテレビはやはり遠い存在となろう。好みの情報やゲームに埋もれるだけでは、社会性や幅広い物の見方がなかなか身に付かない。将来を担う若者たちが国内外の動静に関心を持たず、正確に理解していないのは国の行方にも影を落とすことになろう。

現在、ネットで流されるニュースは、国内では新聞社やテレビ局から提供されているものが多く、裏付け取材を経た情報であり一定の信頼性は保たれている。それ以外にもネットの世界では無数の情報が個人や企業から発信されており、偽情報や犯罪に関わるようなサイトもある。ネットに依存する社会では、その情報を見極める目がますます重要性を増す。利用者の低年齢化はネット教育の低年齢化も必要となる。

同時に、国民が物事を判断するための正確で信頼できる情報をいかに提供するか。既存メディアにとっても大きな課題である。

2017 年
 5 月 23 日 (火)

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