2017年2月22日(水)

【論説】天皇退位各党聴取 総意づくりへ議論継続を

天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長が、国会としての見解取りまとめに入った。

正副議長が8党と参院2会派から行った意見聴取の結果、退位を実現する法整備に関しては与野党で大きな隔たりがあることが改めて明確になっている。

自民党は、恒久的な退位制度化に必要な要件設定が困難として「陛下一代限り」の特別法が望ましいと主張、公明党、日本維新の会、日本のこころが同調する。

これに対して野党第1党の民進党は、皇位継承は典範によると定める憲法2条との整合性の観点から皇室典範改正による恒久制度化を要求。共産、自由、社民党が同様の主張をしている。

憲法1条で、天皇の地位は「国民の総意に基づく」と規定されている。このため衆参両院で圧倒的多数を有する「特別法」支持派が押し切ることはできない。「典範改正」支持派との妥協点を見つけ出さなければならないが、ポイントはやはり「総意」は何かという点に帰着するだろう。

現時点ではっきりしているのは退位という陛下の意向実現はもとより象徴天皇制の安定的な存続と、その具体化に向けた国会での継続的な議論だろう。今回の一連の取り組みをその出発点としなければならない。

「国民の総意」が具体的に何を指すのかは実は極めて難しい。

定義について政府の見解が示されたことはそれほど多くはなく、引き合いに出されるのは1979年4月19日の衆院内閣委員会での真田秀夫内閣法制局長官が行った答弁である。

真田氏は憲法1条の字句の意味や制定過程に関して次のように述べている。

「総意というのは…具体的な国民一人一人の意思というような意味ではなくて、いわゆる総体としての国民の意思ということでございます」「当時の帝国議会で衆知を集めていろいろご検討になって、そして国民の総意はここにあるのだというふうに制憲会議においてご判断になった」

この答弁で今後、確定するのか否かは別として、「議会が衆知を集めて判断した総体としての意思」が「国民の総意」であると説明している。幅広く各界各層の声に耳を傾けた国会議員、党、会派が議会での熟議の結果、導き出した結論ということになる。

国会で皇室典範改正による恒久制度化を支持する党派は少数だが、共同通信社はじめ報道機関の世論調査では多数を占めている。

この世論との「ねじれ」を国会はどう克服するのか。自民、公明両党はすでに皇室典範の付則に根拠規定を置く方向で調整に入っている。

民進党はこの案にも否定的で、協議は曲折が予想されるが、最終的には付則案で決着するとの見方が根強い。仮にそうなって陛下の退位が実現したとしても、それは「国民の総意」づくりのスタートと考えなければならない。

世論調査で典範改正支持が多数を占めているというような形式的な理由からではない。「何が国民の総意であるか」を導き出すのが国会とされているからだ。

その意味で民進党などが求めている「女性宮家」の創設や女性・女系天皇容認の是非を議論する場をつくることが不可欠だ。自民党などが慎重派を抱えていたとしても拒否できる理由はない。

2017 年
 2 月 22 日 (水)

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