2020年1月28日(火)

【論説】茨城のものづくり産業 求められる変化への対応

本県の第2次産業は県内総生産の37・8%を占め、生産額で全国8位に位置する。その中心である製造業の2017年の製造品出荷額等は約12兆2800億円で、07年、08年以来の高い水準にある。

分野別に近年の動向を見ると、輸送用機械(自動車など)が07年に比べ2・4倍と大きく伸びている一方、情報通信機械は61%、電子部品・デバイスは30%それぞれ減少している。

世界の産業動向の中での国内主力企業の経営判断や新規立地が大きく影響していることが見てとれる。このような中、企業経営、産業政策には何が必要だろうか。

例えば自動車関連産業。この分野では、17年に古河工場が全面稼働開始した日野自動車の占める割合が大きいが、同社には従来から取引している県外企業が多数ある。関係者によれば、品質はもちろん、コスト競争力、リードタイム短縮などが重要であり、ものづくり企業としての力をトップレベルまで高めることが、それらの企業と競うためには欠かせない。

もう一つは、新分野に取り組む力である。同社に限らず自動車メーカーは今大きな変革期にある。ハイブリッド化が進み、電気自動車、さらには燃料電池車も視野に入ってくる中で、新しい素材や部品が求められる場面も増える。そこに機会を得るための研究開発が企業の成長の鍵を握るだろう。

電気機械などの分野では、日立製作所を中心とする企業ネットワークがけん引する時代が長く続いたが、近年、様相は大きく変わってきている。同社は以前から下請け企業に対し自立への変革を促し、企業も複数社への取引拡大のため懸命に努力してきたが、今はさらに、ものづくりだけでやっていけるかという壁が現れた。

日立製作所の最近の動向を製造業切り離しと捉えるのは極端だとしても、「社会インフラ、ビジネスインフラをデジタルで変革する」「社会イノベーション事業のグローバルリーダーをめざす」という同社の方針の中では、ものづくり以外の要素の重要性が高まっていることも確かだ。

企業にとってデジタル化への対応は最重要課題であり、対応できなければものづくり産業の未来はないと言ってもいい。かつては数値制御によって加工技術が飛躍したが、現代のA(1)(人工知能)は人の熟練の技の模倣にとどまらず、設計・デザインもするし、何を作れば売れるかまで提案する。

このような変化に対応するには企業の技術開発力向上が不可欠だが、それだけでは足りない。個々の力だけでできることには限りがある。異業種の勉強会のような活動はさまざまあるが、そこから大きく踏み出し、具体的な製品開発によって成果を上げるには、コーディネート機能が重要である。

かつてない変化の中で将来を見据えたテーマを設定し、それに適した企業を見いだして連携を促し、掛け算の力を出す強いチームを作る役割を担う。ある企業支援専門家は、コーディネーターのコーディネートをすることや、M&A(企業の合併・買収)などを行う企業の活用も有効であり、地域を越えたチーム作りも躊躇(ちゅうちょ)すべきでないと言う。

ロボット、エネルギーや県がプロジェクトを立ち上げた宇宙など今後の成長分野は、ものづくりの技術、経験が生きる分野でもある。企業にとってチャンスが広がる。

2020 年
 1 月 28 日 (火)

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