2020年2月24日(月)

【論説】辺野古県民投票1年 移設計画は一から見直せ

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立てへの賛否を問うた沖縄の県民投票から24日で1年になる。

県民投票は投票率が52.48%で、埋め立てに「反対」が72.2%に達した。その後の衆院沖縄3区補欠選挙と参院選でも辺野古移設反対を掲げた候補が当選している。県民の民意は明確だ。

だが、政府は工事を続行、県民の声を顧みる姿勢は全く見られない。これは民主主義のあるべき姿なのか。強い疑念を抱かざるを得ない。

辺野古への移設工事は、埋め立て海域で見つかった軟弱地盤の改良工事のために工期は当初想定よりも大幅に延びた上、できあがっても護岸が崩壊する可能性が専門家から指摘されている。

なぜ工事を強行し続けるのか。このままでは、市街地の中心部にある普天間飛行場の危険性の早期除去にはつながらない。政府は辺野古移設工事を取りやめ、計画を一から見直すべきだ。

県民投票は市民グループが中心となって署名を集めて実現した。市民グループの代表で、不参加を表明した自治体を説得するためハンガーストライキを行って全県実施につなげた大学院生の元山仁士郎さんは、県民投票翌日からの工事強行や、沖縄県以外の人たちから「おかしい」という声が上がらない現実を挙げて、「日本は本当に民主主義を大事にしているのか」と疑問を呈す。その通りだろう。

そもそも工事はいつ完成するのか見通しは立たない。防衛省は昨年末、地盤改良のために工期が大幅に延びるとして、飛行場整備も含めた事業完了までに約12年、総工費も当初計画の約2.7倍となる約9300億円とする見直し計画案を公表した。完成したとしても、普天間飛行場の返還は2030年代以降にずれ込むことになる。

ところが、その後、防衛省が予定している改良工事の計画よりも深い海底で、軟弱地盤の可能性を示すデータが出ていたことが判明した。

軟弱地盤の底までは約90メートルの深さがある。ただ、防衛省は約70メートルよりも深い海底の地盤は安定しており、70メートルまでくいを打ち込む工事で対応できるとしていた。しかし、民間業者の報告書には70メートルよりも深い海底地盤で軟弱とみられるデータが出ていたのだ。

防衛省は「民間の委託業者が独断で行った調査で、方法も簡易であり、信頼に値するデータではない」としている。だが、この地点は護岸を造成する予定地であり、独自に検証している地質学の専門家らは、最悪の場合、護岸が崩壊する恐れがあると指摘する。

疑問のあるデータが出ているのならば、正式なデータを得るために再調査を行うのが当然だろう。なぜ調査を行わないのか。不都合な情報には目をつぶり、工事を進める姿勢は、「移設計画ありき」と言うしかない。強く反対する。

防衛省は地盤改良工事を実施するための設計変更を3月中にも沖縄県に申請する。だが、玉城デニー知事は申請を承認しない意向を明確にしており、国と沖縄県が新たな法廷闘争に入る可能性がある。工期はさらに延び、総工費も膨れあがるだろう。

見通しの立たない移設計画にいつまで税金をつぎ込むのか。政府は早急に方針を転換すべきだ。

2020 年
 2 月 25 日 (火)

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