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藻から燃料 筑波大実験施設完成

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つくば国際戦略総合特区のプロジェクトの一つで、藻から燃料油を作り出す「藻類バイオマス」の国内最大級実験施設がつくば市栗原に完成した。筑波大が取り組む研究で24日、関係者向けに施設が公開され、藻類混合燃料を使った国内初の公道デモ走行が行われた。

施設は、特区制度の活用で農地法の規制を緩和し、同大近くの農地に約2億円投じて整備した。敷地面積は2800平方メートルで、このうち7割が藻類「ボトリオコッカス」を屋外で大量培養するエリア。培養に用いる専用池は23基で国内最大級となる計約72トンの容量があり、培養液を濃縮させる装置などは温室に配置した。

ボトリオコッカスは光合成により重油の主成分である炭化水素を作り出す性質があり、石油代替燃料として期待されている。培養後は同大の研究室で油分を抽出・精製し、年間約1・4トンの燃料油回収を目指す。

ディーゼル車を使ったデモ走行は同大内の公道などを使い、約5キロの距離で実施。軽油に5%の藻類燃料を混和させた燃料を使用し、問題なく安全に走った。

本格的な走行実験は来年度から実施し、排ガス濃度などのデータを収集しながら、年間延べ50回の走行を予定する。

同大によると、藻類燃料は現在1リットル当たり約千円以上と生産コストが高い。同大では今回の施設稼動で、低コスト化へ向けた大量培養技術を確立したい考え。

研究チームの渡辺信同大教授は「2020年をめどに、バイオ燃料を使う時代がやってくる。その時、世界に遅れをとらないようにするのがわれわれの役目。日本は水資源が豊富なので、“産油国”になるとの気概で研究に当たりたい」と意欲を述べた。

2011年12月に指定されたつくば国際戦略総合特区ではこのほか▽「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」による次世代がん治療▽生活支援ロボット▽世界的ナノテク拠点づくりを目指す「Tia・nano」-の取り組みが進められ、実用化へ向けて進展が見られる。昨年10月には医薬品、核医学検査薬、ロボット医療の三分野の研究開発が特区の追加指定を受けた。

次世代がん治療は、東海村白方の「いばらき中性子医療研究センター」で中性子ビーム加速器などの治療装置組み立て作業が大詰めを迎え、15年度には臨床研究(治験)を始める予定。

医療用ロボットの実用化では、筑波大のベンチャー企業サイバーダインが製造するロボットスーツ「HAL」について、脳卒中や脊髄損傷の機能回復を図る医療機器として、県立医療大で治験準備を進めている。



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