核融合プラズマ試験装置 真空容器組み立て開始

日本原子力研究開発機構那珂核融合研究所(那珂市向山)で、臨界プラズマ試験装置「JT-60SA」の心臓部である真空容器の組み立てが始まり、同研究所は4日、作業の進捗(しんちょく)状況を公開した。真空容器は、数億度のプラズマを閉じ込めるために必要な真空状態を維持する。
真空容器は10体に分割して製作され、完成すると高さ6・6メートル、外径10メートルのドーナツ状の形となる。各種の機器を含めた総重量は400トンになる。
組み立ては5月21日に始まり、既に2体が据え付けられた。容器の溶接などを行って、来年7月ごろに最後の1体を残して組み上がる予定。その後は1体分の隙間から、真空容器を覆う磁場コイルを装着していく。
JT-60SAは日本など6カ国と欧州が連携し、フランスに建設中の国際熱核融合実験炉(ITER)の関連施設として整備している。日本と欧州が分担し、磁場コイルなどの各種機器を製作している。
JT-60SAの組み立て作業は2013年1月にスタート。既に土台部分の設置と、真空容器内のプラズマの形状を制御する超伝導コイル3個の仮設が終わっている。本格稼働は19年3月を目指している。
欧州側のプロジェクトマネジャー、ピエトロ・バラバスキさんは「2年前から日欧で設計を始め、ここまできて非常にうれしく満足している。核融合研究に非常に重要な役割を果たしてくれるだろう」と述べた。
(根本樹郎)