祭神タペストリー奉納 漫画家・村上さん、染色家・奥田さん
東日本大震災からの復興に願いを込め、鹿島神宮の祭神「武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)」をモチーフに、漫画家の村上もとかさんと染色家の奥田祐斎さんが共作したタペストリー3点が6日、鹿嶋市宮中の同神宮に奉納され、関係者が参列して神事とお披露目が行われた。
市内の個人事業主などでつくる町おこしグループ「楽しかっぺ鹿嶋」(給前正敏代表)が企画。奉納式には同グループや作者2人をはじめ、錦織孝一鹿嶋市長など約50人が参列し本殿での神事に臨んだ。
村上さんはテレビドラマにもなった漫画「JIN-仁」の作者。奥田さんは京都の染色家で、高貴な草木染め「黄櫨染(こうろぜん)」の再現者。2人は過去にも共同で仕事をしたことがあり、村上さんの家が同神宮にゆかりがあることから給前代表らが協力を依頼した。
タペストリーは縦2メートル、横幅1メートル。勇ましい武甕槌大神がナマズと竜を制圧した場面の図柄が、黒い線で描かれている。これに対し、奥田さんが雰囲気を変えるため1点ずつ色とデザインを違えて染めた。
村上さんによると、先祖は昔、同神宮の宣伝布教を業としていて本家が今も同市内にある。村上さんは「これを機に神宮と縁を結ぶことができてうれしい」、奥田さんは「熊野(三重県)出身だが、熊野の神社と鹿島神宮の祭神同士も、日本書紀などによれば大いに関係がある。何かのつながりを感じる」と話した。同神宮では、奉納されたタペストリーを、7月末完成を目指し建設中の祈祷(きとう)殿に飾ることにしている。 (佐川友一)