常磐線利用促進を 東京乗り入れ控え街頭活動
常磐、宇都宮、高崎のJR3路線が東京駅に乗り入れる上野東京ライン(東北縦貫線)の来年3月の開業を前に、県などは常磐線利用の促進に向けて攻勢を仕掛けている。利用実績を引き上げてアピールし、1本でも多く乗り入れを実現させるのが狙い。8日は橋本昌知事を先頭に、本県と福島の計31駅で初の一斉キャンペーンを行い、通勤通学客らに積極的な利用を呼び掛けた。
県は東京駅乗り入れの効果について、東京通勤圏になることによる定住人口増▽同駅のホームで県内の地名が出ることによるイメージアップ▽観光客誘致による交流人口増-を見込む。野口通県企画部長は「沿線住民が増えれば地域活性化につながる。とにかく1本でも多く本数を確保したい」と意気込む。
一方、JR東日本によると、水戸駅の1日平均の乗車人員は1993年の約3万7千人をピークに、2012年には約2万8千人まで落ち込んでいる。また、県が昨年9月に行った調査で、東京駅乗り入れを「知らない」と答えた人が約55%と認知度の低さが明らかになった。
上野東京ラインは3路線が競合する上、東海道本線と同じホームを使用するため、乗り入れ本数には限りがある。JR東日本は割り振り本数について「利用促進が前提」と、利用客の上乗せの必要性を示唆している。
ダイヤ決定が12月とみられることから、県交通対策室は「ダイヤ発表を見据えると一番いいタイミング」と、今回の一斉キャンペーンを打ち出した。例年11月の「常磐線東京駅乗り入れ促進大会」も、今年は8月に繰り上げて機運の醸成を図る方針。
一斉キャンペーンは水戸駅など県内28、福島県いわき市内3の計31駅で、沿線自治体と商工会議所・商工会などから計約230人が参加して行われた。
水戸駅では橋本知事や高橋靖水戸市長、和田祐之介県商工会議所連合会長ら約30人が、うちわや沿線イベントカレンダーなど啓発品1500部を配布。橋本知事は「できるだけ多く利用されるよう、周りの人にも勧めてほしい」と呼び掛けた。
(根本樹郎)