古墳時代の方形周溝墓 常陸太田瑞龍古墳群
瑞龍古墳群(常陸太田市瑞龍町)の発掘調査遺跡の報道陣向け説明会が20日、現地で行われた。調査区域全域では、古墳時代の方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)が計画的に13基配置された状態が確認され、縄文-室町時代の遺物も多数出土した。発掘した県教育財団は「同市域や県北の歴史を解明する上で貴重な資料」だと指摘している。一般向けの現地説明会は23日開かれる。
同遺跡は旧瑞竜小の校庭にあり、面積は約3千平方メートル。発掘は今年6〜8月に行われた。
同財団によると、今回の調査で見つかった方形周溝墓13基は、墓の周囲に方形に溝を掘ったのが特徴。互いが重なり合わないよう計画的に配置されていた。中には、県内で確認された周溝墓と比べ、かなり大きい約15メートル四方の墓も含まれた。
墓内に埋葬施設は見つからなかったが、出土物として、底の一部に穴を開けられた土師器(はじき)のつぼやかめが発掘されている。器は「墓に入れた後の再利用を防ぐという当時の葬送儀礼」(奥沢哲也主席調査員)という。同財団はこれらの遺物から、方形周溝墓は4世紀前期ごろ築造されたと推測している。
遺跡の北東に位置する箱式石棺からは、時期は不確定ながら人骨が出土した。ほか、竪穴建物跡3棟、円墳1基、周溝状の遺構3基、土坑33基なども見つかった。
同遺跡で最初に発掘調査が行われた1986年には、円墳や石棺のほか、平安時代の竪穴建物跡5棟が確認された。人骨や副葬品のほか、右手にへらを持つ女子埴輪(はにわ)像が出土している。
現地説明会は、瑞龍古墳群で23日午前10時から予定。調査中の遺構と土器などの出土品を展示する。問い合わせは同財団(電)029(225)6587。
(安ケ平絵梨)