陣屋門の歴史紹介 石岡、移築工事で説明会
石岡市は20日、移築改修工事中の県指定文化財「石岡の陣屋門」の一般説明会を市民会館で開催した。陣屋門に使用された部材や、歴史のパネルなども展示され、訪れた人の目を引いた。設計の指導管理を担当した市文化財保護審議会委員の神戸信俊さん(65)が説明を行い、文化財保護の思いを語った。
工事では、瓦は損傷が激しかったため、1200度の高温で焼き締めたものに全て交換した。下部が腐敗した門扉を修復したり、垂れ下がった軒(のき)を鉄骨で補強したりと、門の強度も高めた。この先150年は修理の必要はない見込みという。
同会館内では、瓦やしゃちほこを時代別に並べ、滋賀県の職人による鬼瓦などを披露。また、陣屋門の歴史が書かれたパネルが展示された。
神戸さんは工事を振り返り、「見学に来た市民の方が、昔の様子を話してくれたこともあった。文化財は、1回なくなったら二度と復元できない。(今回の移築は)創建当時の門の姿に近づけようと試みた」と話した。
陣屋門は「高麗門」という様式で、1828年(文政11年)、府中松平家の江戸屋敷を再建した際、余りの材料で創建されたと伝わっている。昭和40年代になると、同所に市民会館ができ、交通の利便性などを理由に会館裏に移設。老巧化や東日本大震災の影響で、本年度中の修復が決まった。
移築工事は11月下旬に終了予定。 (安ケ平絵梨)