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笠間焼、仏へ輸出 業務用食器、商社と成約

笠間焼食器のフランス輸出に乗り出す向山窯の増渕浩二社長(右)。左はジェトロ茨城の西川壮太郎所長=笠間市笠間
笠間焼食器のフランス輸出に乗り出す向山窯の増渕浩二社長(右)。左はジェトロ茨城の西川壮太郎所長=笠間市笠間


本県が誇る伝統的工芸品の笠間焼が2月、フランスへ食器として輸出される。窯元の一つ、向山窯(こうざんがま)(笠間市笠間、増渕浩二社長)が、日本貿易振興機構(ジェトロ)の商談会を通じて同国の商社と輸出について成約した。これまで窯元や作家が海外で笠間焼を販売した例はあるが、現地商社を通した本格輸出は約50年ぶりという。海外輸出は、笠間焼を業務用食器として売り込む戦略の一環で、増渕社長は「注文に応じて手作りできる産地の強みを生かし、国内外で販路拡大を目指す」と意気込んでいる。


今回輸出するのは、形や上薬が異なる白色の皿とボウルの6種類で、手始めに6セット計36枚の注文を受けた。現地のレストランなどで使用されるという。既に商品は発送し、2月初めに現地に到着する予定。

増渕社長によると、笠間焼は1960年代の一時期、米国向けに食器として輸出していたことがあり、今回の輸出はそれ以来になるという。

同社は昨年11月、大阪で開かれた「ジェトロ・テーブルウエア商談会」に出展したところ、フランスの商社から引き合いがあり、形や上薬の種類について調整し、成約にこぎ着けた。契約や輸出の書類作成などはジェトロ茨城が支援した。

同社はほかにも、昨年9月に仙台市で開かれた商談会を通じてフランスの別の商社と交渉中で、近く食器の輸出が決まる見通し。

増渕社長は「洋食の食器は磁器がほとんどで、陶器が選ばれるのは異例。海外展開を検討する中で、(昨年6月の)ジェトロ茨城開所がいいきっかけになった」と喜んだ。

ジェトロ茨城の西川壮太郎所長も「農産物や食品と器のコラボは重要なテーマ。今回のように、海外に出向かなくても輸出の商談ができることを知ってほしい」と話した。

笠間焼の各窯元は2013年9月に業務用食器研究会を発足。陶炎祭(ひまつり)などのイベントや観光での来客を待つ「産地直販依存」から脱却を図り、国内外で販路開拓を進めるのが狙いだ。

同研究会の会長も務める増渕社長は「和食のユネスコ無形文化遺産登録や、20年東京五輪開催を追い風に、首都圏やフランス以外の国にも笠間焼の食器を流通させる仕組みを作っていきたい」と意欲を語った。 (松下倫)



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