復興のヒマワリ託す 鉾田・旭南小、里親の一員に
東京電力福島第1原発事故の影響を受ける福島県を応援しようと、鉾田市立旭南小(江橋惣一校長、児童141人)が「福島ひまわり里親プロジェクト」に参加することになった。4年前、同県富岡町から避難してきた児童姉妹が帰郷することになったことから、姉妹が転校前の18日、全校児童に「花を咲かせて」と呼び掛け、ヒマワリの種を託した。
姉妹は4年生、大和田紗希さん(10)と1年生、みず穂さん(7)。東日本大震災後、同原発から約30キロ離れた田村市の体育館などに避難した後、母親の愛真さん(33)の実家がある鉾田市に移り住んだ。父親の勲さん(37)らは1カ月後に福島に戻り、以来4年間、離れ離れの生活が続いていた。放射能の影響が残る富岡町の自宅には帰れないが今月、いわき市の勲さんの元に戻ることになった。
同プロジェクトは復興のシンボルにヒマワリの花を咲かせようと2011年5月にスタート。全国の里親がヒマワリを育て、採れた種を福島で咲かせて、各地との絆を強めるとともに知的障害者の雇用や観光につなげる。若手経営者らでつくるNPO「チームふくしま」が取り組み、これまでに10万人以上の里親から5トン以上の種が送られたという。
勲さんが同NPO理事を務めている縁で、同校は児童会活動として取り組むことにした。18日には同校で特別行事「ひまわりがつなぐ希望のメッセージ」が開かれ、紗希さんが避難の経緯や福島の現状、プロジェクトの内容などを説明。全校児童に別れを告げるとともに参加を呼び掛けた。
紗希さん姉妹が「南小で咲いたヒマワリから採れた種を、来年夏に福島で咲かせられたら」と6袋分の種を手渡すと、児童会の細谷唯人会長らは「僕たちの種が育つことを待っていて」と花を咲かせることを誓った。
江橋校長は「2人とはお別れになるが、ヒマワリでつながっていける。これは新しい物語の始まりだ」と呼び掛け、取り組みが広がっていくことを願った。夏に校内や児童の自宅で育ててもらい、採れた種は秋に紗希さんらに贈りたいという。 (島田真太郎)