ギャラリー「笠間の家」カフェ新設、展示充実
世界的建築家の伊東豊雄さんの出世作ともいえる笠間市下市毛の「笠間の家」が26日、カフェギャラリーとしてリニューアルオープンする。前衛的作品で知られる陶芸家の故里中英人さんの元アトリエ兼住居で、遺族から寄贈を受けた市が2013年4月から一般公開。今年4月から指定管理者となった市内のNPO法人が、多くの人に訪れてもらおうと、新たにカフェの機能を持たせたほか、展示の充実を図っていく。
伊東さんは13年に建築界のノーベル賞と称される米プリツカー賞を受賞。笠間の家は1981年に完成した初期の作品で、日本建築家協会新人賞に輝いている。外観は弧を描き、斜面に沿うように建てられ、内部は白が基調で、斜めの天井、壁の少ない空間、高い採光性などが特徴的だ。
市は屋内を一般公開し、作品展などに貸し出してきたが、観光拠点にしようと、上手に活用できる指定管理者を募集。東日本大震災以降、本県の復興のためPR活動を展開してきたNPO法人「いばらきの魅力を伝える会」(金沢大介代表)が選ばれ、3年間の管理・運営を任された。
建物は木造2階建てで、2階部分の元居間にカフェを設置。席は16人分で、大きな窓からは笠間の山並み、自然を一望できる。特注の笠間焼の器でコーヒーや県産紅茶、ケーキを楽しめ、旬の果物、野菜を使ったメニューの提供も検討中だ。
里中さんが自身の作品や収蔵品を飾っていた2階スペースは、従来通り展示で貸し出すほか、同NPO法人企画の展示を月1回のペースで行い、ギャラリーの機能を強化。26日からはリニューアル記念として、里中さんの作品や収蔵していた北大路魯山人らの陶芸作品を並べる「里中英人コレクション展」を開く。
このほか、1階の元工房はワークショップなどのイベントに使う。金沢代表は「カフェ、展示を通じて伊東さんの建築に親しみ、その価値や笠間の魅力を知ってもらい、笠間の家が『笠間の顔』になるようにしたい」と意気込んでいる。
開館時間は午前9時半から午後5時まで。基本的に月曜休館。入館無料。問い合わせは笠間の家(電)0296(73)5521。
(今井俊太郎)