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自然環境「一層守る」 涸沼、ラムサール正式登録

茨城町役場前に懸垂幕が掲げられた
茨城町役場前に懸垂幕が掲げられた
鉾田市庁舎に懸垂幕が掲げられた
鉾田市庁舎に懸垂幕が掲げられた


涸沼がラムサール条約に正式登録されたことを受け、地元の茨城、鉾田、大洗各市町や、自然保護団体の関係者らからは、喜びとともに、環境保全などへの一層の取り組みを誓う声が聞かれた。

小林宣夫茨城町長は町役場で会見し、「町のシンボル涸沼が世界的に貴重な湿地と認められた。自然を維持保全し、来町者に見てもらう体制づくりを進めたい」と、地域の活性化につなげる考えを強調した。

鬼沢保平鉾田市長は「一つは観光資源として期待できるし、もう一つは環境保全をこれまで以上に取り組んでいきたい。水質改善など住民の意識も高まると思う」と述べた。

市は同市箕輪の宿泊施設・いこいの村涸沼内に観光客などに向けた案内看板を設置する予定。

また、小谷隆亮大洗町長も「登録で、涸沼への認識が高まった。汽水湖特有の生物の多様性を生かした体験授業など、環境保全と地域活性化を結び付けた観光事業に取り組んでいきたい」と、具体的な構想を示した。

茨城大の三村信男学長は「これからも環境・生態保護につながる調査研究、教育などを推進し、地域住民と一緒に『世界の涸沼』を育んでいきたい」とし、10月から涸沼の生物や環境をテーマにした住民向け講座を開く考えも示した。

ヒヌマイトトンボの発見者の一人、茨城生物の会の小菅次男会長は「ヒヌマイトトンボが今後も生きていける環境を残そうと皆が考えるきっかけになる」と期待した。

環境保全に取り組む茨城町水と自然を守る会の清水澄さん(80)は「将来を考えて、水産資源豊富な涸沼に再生しなければいけないと思っている」と、水質浄化に本腰を入れて取り組む構え。

活動を始めて5年目という同町自然観察クラブ会長の冨田久子さん(66)は「冬の涸沼はオオワシやスズガモなど観察のしがいがある。野鳥観察者をもてなす施設があれば、喜ばれるだろう」と、来訪者の増加を想定した取り組みに期待。

同町小幡で里山保全活動を行っているNPO環〜WAの平沢文子代表は「里山の近くを流れる寛政川が涸沼へ注ぐ。流域環境が湖の生態系にも影響しており、森を守る活動の意義も高まる」とした。

日本野鳥の会茨城支部の池野進会長は「この環境を国や県が今後も維持していくことを世界的に宣言したことになり、生物の側からみても意義のあることだ」と話した。



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