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「自己変革こそ芸術」 県近代美術館シャーン展

ベン・シャーン作品への思いを語る横尾忠則さん=水戸市千波町
ベン・シャーン作品への思いを語る横尾忠則さん=水戸市千波町


水戸市千波町の県近代美術館で12日、開催中の「丸沼芸術の森所蔵 ベン・シャーン展」の関連イベントとして、世界的に活躍する美術家、横尾忠則さん(78)によるギャラリートークが行われた。横尾さんは、若い時代に強く影響を受けた米国画家、ベン・シャーン(1898〜1969年)の魅力や、自身の創作スタイルを踏まえ、「自己を変革させていくことが芸術」と語った。

横尾さんは1936年、兵庫県に生まれ、新聞社でグラフィックデザイナーとして活動後に独立。80年にニューヨーク近代美術館で開かれたピカソ展に衝撃を受け、画家としても活動を始めた。

横尾さんはこの日、美術ファンら約250人を前にシャーン作品について思いを語った。自由や平等を訴えるポスター作品には「若いときに、メッセージ性が強い作品を見て、興奮してしびれた。自分も作ってみたいと感じた」と振り返った。

「作家は自分のスタイルを確立するのに長い時間を必要とするが、シャーンは早い時期に様式を手に入れた。その後スタイルを壊さなかったのは、自己を見詰める力より社会や外部に関心が強く向いていたから」と横尾さん。

さらに、ピカソをはじめ20世紀の現代美術家が創作スタイルを絶えず変えていったことを挙げ、「自分も過去のスタイルを次々に壊していくタイプ。変化がないのはつまらない」と強調。「人の肉体は老化するが、精神や考えは変化することで新しくいられる。自己を変革させていくことが芸術なのでは」と締めくくった。(沢畑浩二)



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