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没後30年、鴨居玲の画業顕彰 笠間日動美術館

鴨居玲の作品を内覧する来賓ら=笠間市笠間
鴨居玲の作品を内覧する来賓ら=笠間市笠間


内面の葛藤を道化師などに託して表現した画家、鴨居(かもい)玲(れい)(1928〜85年)の没後30年を記念し、その画業を顕彰する常設展「鴨居玲の部屋」が1日、笠間市笠間の笠間日動美術館で始まった。未完の自画像をはじめ、大作の構想を練るため使用したテーブルや、愛用の椅子などゆかりの品々も展示。「心の叫び」を発し続けた鴨居の芸術世界が感じ取れる。

石川県に生まれた鴨居は、金沢美術工芸専門学校(現金沢美術工芸大)で学び、洋画家の宮本三郎に師事。71年、スペインに渡り、「ドン・キホーテ」で知られるラ・マンチャ地方に滞在。酒に酔う人々、老人、教会などのモチーフを獲得し、代表作を生み出す。その後、「1982年 私」「出を待つ」などの名作を描き上げるも、制作に焦燥を抱くようになり、85年に自ら命を絶つことになる。

同展では、抽象作品の雰囲気を漂わす「教会」(76年)や未完の自画像に加え、キリストの「最後の晩餐(ばんさん)」の構想のため手に入れた大型テーブル、身の回りの愛用品など約80点が並ぶ。

鴨居と17年間にわたって親交のあった同館の長谷川徳七館長は、「生と死の間で生きていた彼の作品からは、精神の雄たけびが聞こえてくる。常設展を機に画業と魅力を知っていただければ」と話す。

セレモニーでは、長谷川館長や山口やちゑ県副知事らがテープカットを行い、常設展のスタートを祝った。(沢畑浩二)



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