次の記事:10代女性をわいせつ目的誘拐、容疑で男逮捕 茨城県警神栖署 

妖怪画、多彩な題材 県五浦美術館 「日本文化に触れて」

那波多目煌星「鳥獣曼荼羅」=(宗)華蔵院蔵
那波多目煌星「鳥獣曼荼羅」=(宗)華蔵院蔵
河鍋暁斎「鐘馗ニ鬼図(右幅)」=板橋区立美術館蔵
河鍋暁斎「鐘馗ニ鬼図(右幅)」=板橋区立美術館蔵


時代を超えて描かれてきた妖怪画を通して、日本文化を探る企画展「異界へのいざない」が、北茨城市の県天心記念五浦美術館で開かれている。同展では近世から現代まで、茨城ゆかりの作家を含む、多彩な表現の日本画約100点を紹介。同館は「家族で妖怪を楽しみながら、歴史的ルーツや文化を話し合ってほしい」と話している。8月30日まで。

木版技術が発達した江戸時代、鳥山石燕の「画図百鬼夜行」などの妖怪画が広まった。市民権を得た妖怪は、キャラクターとして庶民に定着。歌舞伎や落語に登場するなど、娯楽の一種として親しまれてきた。同館の三代博紀首席学芸主事は「日本では、『カッパが出るから川に近づくな』などの言い伝えで自然から身を守ったり、不安になる怪現象を『妖怪のせい』にしていた文化があった」と話す。

歌川国芳の「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」、平将門伝説を下地にした「相馬の古内裏」には、大魚や骸骨が登場。当時の非日常的世界を、大胆な造形と構図で描いた。

古河藩出身で幕末の浮世絵師、河鍋暁斎の「鐘馗ニ鬼図」は、神であり妖怪である鐘馗が題材。大股でがっしりと立つ虎と、にらみを利かせた鍾馗に気迫がこもっている。

ひたちなか市出身で日本美術院特待の画家、那波多目煌星さんは、化け物や妖怪を多く描いた。「鳥獣曼荼羅」は、燃え盛る背景に無数の目玉がうごめいており、生命感を感じる作品。

昭和40年代に妖怪ブームを起こした漫画家、水木しげるさんの妖怪画も10点並ぶ。同展では、江戸時代に流行した奇談集「絵本百物語」と見比べることで、水木さんが江戸の妖怪の姿を忠実に現代に伝えようとしてきたことが分かる。

会場出口には2005年の映画「妖怪大戦争」で、実際に使われた着ぐるみによるジオラマも展示。撮影スポットとして人気を集めている。



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース