接客に人型ロボット 事業展開の新たな武器
「ペッパー」や「パルロ」など、人工知能を備えた人型コミュニケーションロボットの導入が県内金融機関などで続いている。店舗利用客への対応や催しでの説明業務を担うなど、幅広い場面での活躍を見込んでいる。将来的には金融商品説明や顧客ニーズの把握を通したサービス拡充、業務効率化などに対応する“人材”として、事業展開の新たな武器にしたい考えだ。
「パルロ君、プレゼンをお願い」
11月上旬、常陽銀行(本店水戸市)に人型コミュニケーションロボット「パルロ」が“入行”した。初仕事となる12月の商談会に向け、資料の記憶や読み上げなど“研修”に励んでいる。
パルロは富士ソフトが製造するコミュニケーション機能に優れたロボット。高さ40センチ、重さ1・6キロと小柄で、相手と向き合って自発的に話し掛け、顔や会話内容を記憶することができる。これまで主に、介護施設内などで活躍してきた。
同行では、パルロを商談会や学生向け金融教育の場へ派遣し、説明業務を担当させる予定。営業統括部は「金融の仕組みといった内容の堅い説明を担わせることで、雰囲気を和ませられれば」と、活躍に期待を込める。
■ニーズ把握へ
店舗で順番を待つ体感時間短縮を図ろうと、筑波銀行(本店土浦市)では年内にもソフトバンクロボティクスが開発した「ペッパー・フォー・ビズ」を1台導入する。活用状況を踏まえ、順次導入を拡大していく。
支店内を移動しながら窓口誘導や順番待ちの間の声掛けを行う。年齢や性別、顔、会話内容を記憶する識別機能を生かし、顧客の興味・趣向を把握。ニーズを捉え、将来的にマーケティング戦略にも活用していく計画。銀行内のシステムとも連動させ、業務の効率化も見据えている。
■進むアプリ開発
コミュニケーションロボットの導入は、金融だけでなく幅広い業種で導入が加速している。水戸証券は水戸支店に12月1日から「ペッパー」を導入。来店客に対する会話やもてなしを中心に接客業務を担い「親しみやすい店づくり」(広報部)を進める予定だ。
こうした市場ニーズを背景に、アプリ開発のユニキャスト(日立市)は今年8月、ペッパーに組み込むためのアプリを開発。事業用としてロボットを活用する場合、業務内容に応じたアプリ開発は欠かせず、同社では住宅販売や自動車販売、不動産業者向けのアプリを製品化してきた。
「アプリの引き合いは幅広い業種に及んでいる」。三ツ堀裕太社長は今後もロボットを活用する業種は広がると見ている。導入機運の高まりを追い風に、同社は来年6月までの今期中に、100台分のアプリ販売を目指す計画だ。 (前島智仁)