県警初の小型警察犬 トイプードル「アンズ」
県警の嘱託警察犬にトイプードルのアンズ(雌、3歳)が選ばれ、15日、茨城町上石崎の県警察学校で開かれた嘱託式で警察犬章のメダルを授与された。飼育放棄され殺処分になるところを引き取られ、審査会で合格し県警初の小型警察犬となった。飼い主で指導士の鈴木博房さん(65)=東海村須和間=は「感無量です」と喜んだ。体の小ささを生かした活躍に期待が掛かる。
アンズは出生間もない2013年春、飼い主に飼育放棄された。笠間市日沢の県動物指導センターで、飼い主は「飼育の参考書通り動いてくれない。処分してほしい」と職員に迫った。その場に偶然居合わせたのが鈴木さんだった。鈴木さんは犬を引き取り、庭に植えた木にちなみ、妻と相談して「アンズ」と名付けた。
当初はおびえていたアンズは、鈴木さんが育成するシェパードのグリム(雄、11歳)に懐き、次第に明るさを取り戻した。
アンズが警察犬としての才能を見せ始めたのは、14年に入ってから。鈴木さんがシェパードの訓練にアンズを参加させたところ、捜索が難しい小銭を探し当てた。以後、アンズは訓練に励んでいる。
県警はこれまで、シェパードなど大型の7犬種から警察犬を選んできたが、優秀な犬を採用するため、昨年から試験的に全犬種に対象を広げた。アンズは10月の審査会に初挑戦して合格した。
トイプードルは地面と鼻の位置が近く、薄い臭いを嗅ぎ分けたり、小さな遺留品を見つけたりできるのが特長。アンズは早速、常陸太田市内の行方不明者捜索に出動した。
アンズについて県警の谷津成久鑑識課長は「優れた能力を持っていると判断した。今後の活躍に期待している」と話した。 (鈴木剛史)