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新春合同政懇 茨城大三村学長、温暖化テーマに講演

昨年採択されたパリ協定について解説する茨城大の三村信男学長=水戸市内
昨年採択されたパリ協定について解説する茨城大の三村信男学長=水戸市内


茨城新聞社主催の新春合同政経懇話会が27日、水戸市内のホテルで開かれ、茨城大学の三村信男学長が「地球温暖化と次世代に残すべき未来」をテーマに講演した。三村氏は、2020年以降の地球温暖化対策を定めたパリ協定について「協定実施に向けた体制を具体化すべき」と語り、気候変動の影響を軽減させるために「技術革新や生活スタイルの変化などの温暖化緩和策とともに、気候変動に対する適応力を強化した社会づくりが必要」と訴えた。

三村氏は広島県出身。東京大学を卒業後、同大学院博士課程を修了。1995年に茨城大学工学部都市システム工学科教授に就任し、同大副学長などを歴任後、2014年9月に同大学長に就任した。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次報告書の総括執筆者も務めている。

三村氏は講演で、昨年12月に採択されたパリ協定の内容を解説した上で、「加盟196カ国全てが参加する枠組みができたという意義は大きい。今世紀後半までの世界の目標を示した」と評価。産業革命後の地球温暖化の推移についても、気温やCO2濃度などを例に挙げて説明した。

地球温暖化の影響軽減策としては「緩和」「適応」の2種類の対策の必要性を指摘。「新技術の開発やライフスタイルなどの革新で進行を食い止める緩和策と、災害に強い社会の構築や途上国への技術を移転する適応策の双方を進める必要がある」などと強調した。

合同政懇には、県内4地域の政懇会員とレディースサロン会員の計約120人が出席した。 (大平賢二)

【出席者コメント】
■防災対策強化を 石崎順・鉾田市副市長
昨年の猛暑や数日前の大寒波などで地球温暖化は実感しており、みんなが関心を持って取り組まなければならないと思う。鉾田市としては、水関連の災害が多いので、防災対策強化の必要性をあらためて感じた。

■各国の協力必要 川島正行・いっしん社長
講演を聞くまでは難しいテーマだと思ったが、三村先生の話でわずかな気温上昇も地球全体には問題になるということが分かった。地球温暖化を食い止めるには、日本だけでなく、世界各国の協力が必要だと痛感した。

■取り組み進める 塚本一也・大曽根タクシー社長
車を扱う会社なので講演の中では、トヨタ自動車が脱エンジンを進めるという話を興味深く聞いた。日本はこれまで、技術で課題を解決してきた。事業者としても、これからの時代に合った取り組みを進めたい。

■リスクの低減を 藤本正之・東京ガス茨城事業部長
天然ガスを扱う企業なので、三村先生の講演は大変勉強になった。特に、気候変動の緩和策と災害などへの適応策の双方を向上させることでリスクを低減させる考え方は初耳で、とても新鮮な思いで聞かせてもらった。

■具体策を考えて 横張日出子・セクレタリーサービス社長
排出権取引に関する日本の技術移転の話題は興味深かった。地球温暖化防止の取り組みは、誰もが関心はありながらも、具体的にどうすればいいか分からない問題。私たちができることを、もっと考えるべきだと思う。



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