常陸太田市 林業活性化へ官民連携 国、県、森林組合と協定
森林整備や林業の活性化に官民が連携して取り組むため、常陸太田市は24日、県県北農林事務所、市森林組合、茨城森林管理署の3者と「常陸太田地域森林整備推進協定」を結んだ。国有林と民有林が入り組んだ森林を共同施業団地に設定し、一体的な森林作業道整備などを進める。これによって効率的な作業環境を整備し、費用削減を図るのが狙いだ。同協定を結ぶのは県内自治体で初めて。
協定の対象地域となるのは同市町屋、春友、茅根の3町内の森林計823.97ヘクタール(国有林696.74ヘクタール、民有林127.23ヘクタール)。作業道の整備や間伐などが一体的にできる「森林共同施業団地」に設定する。
市などによると、対象地域は国・民有林が交互に入り組んでおり、これまで木材運搬や森林管理の妨げになっていた。団地化によって、一体的に作業を進めることが可能になる。効率的な作業道の整備による費用削減、高性能機械の導入や土場の共有による木材の搬出・集積の効率化、間伐作業や販売方法の確立による木材の安定供給などの効果が期待されるという。
同協定に基づく実施計画などによると、間伐面積は297.84ヘクタールで、4050メートルの作業道を整備する。木材生産量は約2万7千立方メートルを見込む。期間は4月1日から2019年3月末まで。
協定締結式が同市金井町の市役所で行われ、大久保太一市長ら各代表者が協定書に調印した。大久保市長は「常陸太田は林業が盛んで、森林は大切な地域資源。森林整備がさらに進み、新たな木材生産と効率的な流通体制の確立につながることを願う」と林業再生に期待を寄せた。県県北農林事務所の飯島茂所長は「本協定を一つのモデルとして、県内の新たな地域に広がることを期待する」と述べた。
茨城森林管理署などによると、木材の安定供給や林業の低コスト化などを狙いに、同様の協定を結ぶ例が全国でも増えており、林野庁全体で154カ所(2015年3月末現在)が団地に設定されている。(朝倉洋)