G7茨城・つくば科技相会合 地球規模の課題解決へ
「G7茨城・つくば科学技術大臣会合」は17日、つくば市竹園のつくば国際会議場で最終日の会合が開かれ、女性研究者の活躍支援などを柱とする共同声明の「つくばコミュニケ」を採択して幕を閉じた。議長の島尻安伊子科学技術担当相をはじめ、先進7カ国(G7)の大臣らは共同会見に臨み、高齢化や格差社会など地球規模の課題解決に取り組んでいく決意を示した。世界中の自然災害に対し、G7が中心となって、科学技術による防災・減災に貢献していくことも表明した。
G7と欧州連合(EU)の大臣らは、16日に引き続き、「次世代の科学技術イノベーション人材育成・女性活躍推進」や「保健医療」など六つの議題について意見を取りまとめ、共同声明に盛り込んだ。
女性活躍推進は、島尻氏をはじめ、参加大臣らの8人中6人が女性ということもあり、今回の主要テーマの一つ。女性の科学者や研究者、技術者と女子生徒・学生の国際的ネットワークづくりの支援などで、科学技術分野での女性の活躍を後押ししていく。
保健医療では、高齢化に伴う認知症やアルツハイマー病のメカニズム解明を目指すほか、発展途上国で大きな問題となる貧困に伴う病気や熱帯感染症の研究開発を促進する。
防災・減災に向けた国際協力の推進は、島尻氏が熊本地震などを踏まえて緊急提案し、各国が同意した。このほか、海洋の生物多様性を維持するための国際的な観測態勢の強化や、研究成果やデータを研究者以外にも公開する「オープンサイエンス」の推進などに取り組んでいく。
島尻氏は共同会見で「密度の濃い議論ができ、会合を成功裏に終えることができた」と振り返った。
大臣らは会見後、来年のサミット開催地・イタリアで予定される次回会合での再会を約束し、順次帰国の途に就いた。
科技相会合は、26、27日両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に伴う関係閣僚10会合の一つで、15日に開幕。大臣らの議論のほか、シンポジウムや科学技術関連の展示会、歓迎レセプションなどを行った。
橋本昌知事は会合終了後の会見で、「茨城の発信に向け、大臣らに農産物や料理を喜んでいただけた。そういう意味でも会合は成功だった」と話した。(松下倫)