茨城大准教授・片口さん個展 東海、絵つなぎ映像で表現
画家で茨城大教育学部准教授の片口直樹さん(38)の個展が7月2日まで、東海村舟石川駅の東海ステーションギャラリーで開かれている。500号のキャンバスに描いた絵がゆっくりと切り替わる映像作品をはじめ、子どもの一瞬の表情を切り取った油絵の大作や観覧者のスケッチ画など約30点が展示されている。
片口さんは、描いた作品を毎回写真で記録している。制作プロセスの面白さに注目し、昨年は同ギャラリーで、塗り重ねられる油絵の特性を生かし、笠間市の桜や子どもの顔など異なるテーマの絵を描く様子も公開した。今年は、一日の終わりに撮影した絵をつなげ、約13分の映像で表現し、絵に時間を内包させた。制作中の音や、子どもの声など日常生活の音を不規則に乗せた。見るたびに絵の表情が変わるため、見る人それぞれの記憶を刺激する。
また、観覧者が持参した人物写真を基に1時間ほどでドローイングした作品や展示後に時間をかけて油彩で仕上げたものもあり、受ける印象や味わいの違いを楽しむことができる。
片口さんは「すぐに答えを求められる時代だが、1年かけたからできる作品もある。2階の映像、1階の絵の部屋を行き来してゆっくりと見てもらえると、新しい発見がある」と話す。
25日午後2時から美術評論家で茨城大教育学部の小泉晋弥教授とのトークセッションが行われる。問い合わせは同ギャラリー(電)029(287)3680。 (大貫璃未)