親子の絆や共感訴え 常陸太田・金砂郷中、杉山さん非行体験語る
非行に走った体験を基に、青少年の健全育成や薬物乱用防止などに取り組む“魂のボーカリスト”杉山裕太郎さん(42)の講演会が9日、常陸太田市大里町の市立金砂郷中(井上敏行校長、生徒287人)で行われた。
自暴自棄になり覚醒剤に手を染めた過去から、親の愛情を知り更生するまでを振り返りながら、親子の絆や「共感することの大切さ」を訴えた。
「親子の絆〜僕が命の大切さを知った日〜」と題した講演会には、全校生徒と保護者約100人が参加した。
岐阜県出身の杉山さんは「優等生じゃない自分は愛されていない」と教育熱心だった親への不信感を募らせ、中学を境に非行に走る。暴走族のリーダーとなりバイクを乗り回す日々の中、覚醒剤に溺れて3度も生死をさまようほど中毒になったという。
23歳の時、「自分の気持ちを分かってほしい」という思いで両親の前で覚醒剤を打つ。父親は「そんな状態にあったなんて知らなかった。許してくれ。お前は俺の大事な息子だ」そういって泣きながら杉山さんを抱きしめた。
両親が自分の気持ちに共感してくれたことで親の愛情を実感し、薬物をやめる契機となった。杉山さんは「一番大切なことは共感。共感は人間に本能的に備わっているもの。相手の立場を想像することが大事」と呼び掛け、非行時代の思いをしたためた「今を生きる」や親子の永遠の愛をテーマにした「ありのままを受け止めて」など3曲を熱唱した。 (鈴木愛実)