JR常陸多賀駅前商店街にある築80年のシェアオフィス「街角縁側　かどや」(日立市千石町)で5日、初めてのコンサートが開かれた。音楽イベントは、シェアオフィス内に事務所や店舗を構える店主や多賀地区連合商店会の有志らが企画。3回公演に128人が来場し、元幕内力士の大至さんが相撲甚句を披露したほか、音楽プロデューサーの浅野勝盛さんと、歌手の泉水いずみさんが「ねばねば音頭」、商店街で眼鏡店を営む小林謙一さんが哀愁あふれるサックスの音色を響かせた。呉服店を営む井上和裕さんは「街角縁側でのコンサートが縁で、人がつながり、集い、街の活性化に結び付くのが一番。今後も企画していきたい」と話している。


シェアオフィスには、カフェ、パン製造販売店、イベント運営会社、広告・音楽制作会社の4社が入居。日ごろから付き合いがあり、地元で定期的にジャズライブを開いている小林さんや、井上さんらを交えた雑談の中からイベント開催の話が持ち上がった。

当初は、定員40人ずつの2回公演だったが、地元出身の大至さんが出演するとあって住民の関心は高く、キャンセル待ちが続出。急きょ3回公演に変更する“うれしい誤算”もあった。当日は商店街の店主や4社が協力し、受け付けや運営、来場者に配布する記念品の洋菓子、パン製造などに追われた。

大勢の市民が見守る中、相撲甚句の「節分会」や新曲「無名の星」、「横綱白鵬オフィシャル応援歌・天運」などを、伸びのある独特な節回しで歌い上げた大至さん。相撲甚句の特徴や歴史などを解説し、「もともとは芸者衆が歌ったのがきっかけで、力士が地方巡業の取組の合間に余興として相撲甚句を披露するようになった。300年の歴史があり、七五調の囃子(はやし)歌で、今も冠婚葬祭で歌われている」と話した。

イベント仕掛け人の一人で、漫才コンビ「おぼん・こぼん」のこぼんさんの次女でもある泉水さんは「予定になかった朝の公演を行うなど、全て満席で大盛り上がりだった」と笑顔。小林さんも「さまざまな人の協力によって、第1弾となる『音楽でのまちの活性化』は大成功に終えることができた」と、次回開催へ自信を深めていた。(小室雅一)