エアボート導入 境町、自治体で初
水害時の救助活動や観光に生かそうと、境町は、プロペラを推進力に水位が低い場所でも移動できるボート「エアボート」を導入し27日、利根川河川敷で進水式を開いた。エアボートは2015年9月の鬼怒川決壊で浸水被害を受けた常総市でも救助の実績があるといい、同町で水害が発生した場合に素早い救助活動を担う。通常時は観光客向けに利根川を航行し、観光資源の一つとして打ち出していく考えだ。
エアボートは船底が平らで、通常の船より水底のがれきに邪魔されず進める。水上の船尾に取り付けられたプロペラで推進力を得るため、水深が浅い場所でも航行可能。条件が合えば最高時速60〜70キロで移動できるという。
同町が導入したのは、エアボート製造販売のフレッシュエアー社(東京)のボート1艇。4人乗りで、操縦には小型船舶操縦免許2級が必要。同社は鬼怒川決壊で常総市内が浸水した際、常総消防署の傘下に入ってエアボートによる救助活動を展開し、46人を救助した実績があるという。
公的機関では、高知県警が水害時の救助活動に備え、今月導入したばかり。同町や同社によると、自治体がエアボートを導入するのは全国初。購入には国の地方創生交付金を充てた。
平常時はさかいまちづくり公社が運航。利根川河川敷で、立ち乗り電動二輪車セグウェイの試乗などを楽しめる「さかいリバーサイドパーク」のアトラクションの一つに位置付ける。航行ルートの検討や操縦に当たるスタッフの実技研修などを経て、7月以降の運航開始を目指す。
27日開かれた進水式で、橋本正裕町長は「利根川で水害が起こった場合、さまざまなことで役に立つと思う」と話し、町観光協会の野口富太郎会長は「安全に注意を払いながら、町を盛り上げていきたい」と意気込んだ。 (小原瑛平)