日立市新庁舎が完成 18日開庁、震災復興のシンボル
東日本大震災で被害を受け、建て替えが進められていた日立市の新庁舎が完成し、記念式典が30日、同市助川町の新庁舎1階で開かれた。新庁舎は18日に開庁する。市は新庁舎を「震災復興のシンボル」と位置付け、整備に取り組んできた。今後は現庁舎を取り壊した跡地に屋外広場と多目的ホール棟を整備する。
新庁舎は現庁舎西側に整備され、鉄骨一部鉄筋コンクリート造り地上7階地下1階。延べ床面積は現庁舎の約2・7倍となる2万4911平方メートル。本体工事と2019年3月完成を目指す屋外広場などを合わせた総事業費は約130億円で、国からの震災復興特別交付金や被災施設復旧関連事業債、合併特例事業債、庁舎積立金を充当。両事業債は発行額の70%が交付税措置されることから、市の実質的な負担は約43億円にとどまる。
新庁舎は分散立地している市教委や企業局などの部署を集約する。防災拠点機能を重視して免震構造を採用、自家発電装置を備えたほか、災害対策本部室を常設する。ガス発電による電気供給と排熱を冷暖房に利用するコージェネレーション(熱電併給)システムを導入するなど環境面にも配慮した。
式典には、橋本昌知事など約300人が出席。小川春樹市長は「行政機能の中枢と市のシンボルとして、市民に世代を超えて親しまれ、受け継がれていく庁舎となることを期待している」とあいさつした。設計監理を担ったSANAA事務所の妹島和世さんは「市民に喜んで使ってもらえたらうれしい。2年後には庁舎と屋外広場が一体となり、まちの中心の場所ができる」と話した。小川市長や市内在住の3世代家族などがくす玉を割り、庁舎完成を祝った。
現庁舎は震災で5棟のうち4棟が半壊、1棟が一部損壊した。3、4階部分が使用できなくなったことから、安全を考慮して、市民が頻繁に訪れる窓口機能をプレハブの臨時庁舎に移した。老朽化した庁舎の建て替えは震災以前からの課題だった。市は11年9月に新庁舎整備を盛り込んだ震災復興計画を策定し、15年3月に着工した。
1、2日の両日は午前9時から市民向け内覧会が開かれる。 (川崎勉)