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「看板建築の街」発信 石岡 5県5市がサミット

看板建築を見学する参加者=石岡市国府
看板建築を見学する参加者=石岡市国府


昭和初期のモダンな建築様式「看板建築」を生かした街づくりを話し合う初の「全国看板建築サミット」が16日、石岡市内で開かれ、5県5市から関係者が参加、専門家による講演やパネルディスカッションを通して、文化遺産としての看板建築の価値や継承の方法などについて意見を交わした。「個性あふれる街として全国に発信できるよう、互いに協力しながら景観保全に努める」とする石岡宣言で締めくくった。

看板建築は関東大震災(1923年)後に数多く建てられた建築の手法で、木造店舗兼住宅の前面に、ついたてのような外壁を設置し、洋風建築に見立てた装飾などを施した。建築家で東京大名誉教授の藤森照信氏が、調査の過程で看板建築と名付けた。

講演で藤森氏は、看板建築ができた経緯や構造の特徴などに触れ、「関東大震災などの震災復興時に建てられ、耐火や耐震のために木造の表面をモルタルや銅板、タイルなどで装飾した」と説明。当時の建築基準法では認められていなかった木造3階建てが多い点について「『3階部分は屋根裏部屋なら良い』と教えてもらい、そうした構造が多くなった」と述べた。

参加したのは、主催の石岡市のほか、埼玉県川越市、青森県八戸市、長野県諏訪市、兵庫県豊岡市の商工関係者やNPO法人役員、学識経験者ら。パネルディスカッションでは、それぞれ各地の事例を紹介しながら意見を交わした。

諏訪市の参加者は「所有者が文化的価値を感じていないこともあり、いかに貴重な建物かを説得するのが大事」と話した。石岡市の県建築士会石岡支部副支部長、島田哲さんは「今後の維持・保存が大きな課題になる。石岡の宝を守っていきたい」と意気込んだ。

サミットに先立ち、参加者は石岡市内の看板建築を見て歩き、地元ボランティアの説明に熱心に耳を傾けた。 (高畠和弘)

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