平安時代の鍛冶工房跡 送風装置部品も出土
県教育財団は17日、鉾田市野友の須賀下東(すがしたひがし)遺跡の発掘調査で、鉄生産をしたとされる平安時代(9世紀以降)の鍛冶工房跡や、燃焼を促す送風装置「鞴(ふいご)」の先に付けた部品「羽口(はぐち)」、鍛冶炉の底にたまる椀形滓(わんがたさい)など関連遺物が出土したと発表した。同財団では「平安時代、当集落には鍛冶に関わる工人集団が存在し、集落内だけでなく周辺集落にも鉄素材や鉄製品を供給していたと考えられる」と説明している。
今回の調査では、旧石器時代後期(約1万5千年前)の尖頭器(せんとうき)▽縄文時代前期(約7千年前)の石鏃(せきぞく)▽弥生時代(3世紀代)の紡錘車(ぼうすいしゃ)▽古墳時代(5〜7世紀)の土師器(はじき)▽奈良時代(8世紀)の須恵器▽平安時代の刀子(とうす)-などを確認した。
注目されるのは、平安時代の鍛冶工房跡1棟。長径約6メートル、短径約5メートルの楕円(だえん)形で深さ約1メートルの竪穴。床面中央部に複数の鍛冶炉や土坑が構築され、羽口や椀形滓、金床石などの関連遺物も多く出土した。同財団は「長期間にわたって鉄生産が行われていたことがうかがえる」と話した。
須賀下東遺跡は、同市中央部を流れる巴川右岸で標高約20メートルの台地に立地。周辺に野友古墳群や宿台遺跡などが点在する。発掘調査は、国土交通省常総国道事務所から委託を受け、東関東自動車道水戸線(潮来-鉾田インターチェンジ間)の建設事業に先立ち、4月から今月末までの5カ月間の予定で実施している。
現地説明会は19日午前10時から開かれる。問い合わせは同財団鉾田事務所・駒沢悦郎さん(電)080(3405)9059。(沢畑浩二)