別府市、恩返しの温泉配達 無料、復興支援に感謝 水戸
熊本地震で被災した大分県別府市は1日、復興支援のお礼として、弱アルカリ性単純泉の温泉を無料で水戸市元吉田町、建築業、仁平幸介さん(23)宅にトラックで届けた。2階の露天風呂に入った仁平さんは「本当に別府温泉に入れるとは」と喜んでいた。
この別府温泉の恩返し事業は5月にスタート、これまで北海道、東北、北信越など27件に配った。今回は4日までに関東地区と山梨、長野県の11件を回る。
市によると、昨年4月の熊本地震以降、別府温泉では8日間で約11万人のキャンセルが発生、被害総額は13億円余に上った。ゴールデンウイーク(GW)も33%減だった。
昨年5月から風評被害対策として、新聞広告やPR動画を展開。お盆シーズンは4%減、年末年始は1%増まで盛り返した。今年のGWは2年前と比べ14%増になり、「奇跡のV字復興」を果たした。
全国に感謝の気持ちを届ける恩返し事業は、市の公式ホームページ(HP)で希望者を募り選考した。8月中旬現在で約2500件の応募があった。来年1月末まで申し込みを受け付ける。
仁平さんは別府温泉に漬かりながら遊園地で遊ぶ計画に興味を持ちインターネットで検索、恩返し事業のHPで応募した。約20年前、今年亡くなった祖父と別府に旅行した経験がある。子どもが大きくなったら再び訪問したい考えだ。
4トントラックの保温タンクに温泉4千リットルを積み込み移動してきた市観光課の後藤寛和さん(36)は「喜んでもらえ、来たかいがあった。47都道府県を回り温泉を届けたい」と話していた。市は恩返し事業を宣伝するPR動画も公開している。旅館やホテル、飲食店員ら110人が出演し、感謝の気持ちを表現した。 (清水英彦)