水質浄化、有効策探る 湖沼会議向け意見交換 土浦で講演・発表会
来年10月に本県で開催される世界湖沼会議を見据え、環境問題への機運を高めていこうと、湖沼浄化を考える講演・発表会が5日、土浦市沖宿町の県霞ケ浦環境科学センターで開かれた。環境団体や行政、企業などの約100人が参加。霞ケ浦ほか、世界湖沼会議でサテライト会場となる水戸市の千波湖、茨城町など3市町にまたがる涸沼の環境活動関係者も交え、「人と湖沼の共生」をテーマにした世界会議への期待を語り合った。
同会では、県霞ケ浦環境科学センターの福島武彦センター長が「霞ケ浦の水環境の現状と将来」と題して基調講演。霞ケ浦の環境指標データを示しながら「水質浄化のために累計約1・4兆円を投資したが、水環境改善ははっきりとは見られない。流域のさまざまな生産活動や、水の再利用率の高さなどが改善を遅らせているかもしれない」と、水質浄化の難しさを指摘した。
続いて、霞ケ浦に流入する新川や千波湖・大塚池でアオコ除去に当たっている3企業が発表。天然鉱物を使ったアオコ吸着や、よどんだ水に水流を発生させ水質を改善させる技術を紹介した。
パネルディスカッションでは、千波湖水質浄化推進協会の桜場誠二会長が、ビオトープ造りや川床を湖畔に開設した試みを紹介。茨城町の田口真一ラムサール推進室長は、涸沼のネイチャーガイド養成に着手し始めたことを報告した。
いばらきコープ生協の鶴長義二理事長は「地域で環境に取り組む人を支援していきたい」と抱負を述べ、霞ケ浦市民協会の沼澤篤研究顧問は「泳げる霞ケ浦をキャッチフレーズに活動を展開。来年の会議は行政・研究者だけでなく市民が参加する会議にしたい。成功に向け準備段階からの参加を訴えたい」と力を込めた。
同会は、つくばの研究と事業者との橋渡しをする循環型社会を目指すつくばフォーラムが主催。横田正雄同代表幹事は「湖沼環境の実態を把握し、浄化への知見を生かしていきたい」と話した。 (武藤秀明)