化学災害の対処訓練 境の病院、患者優先度を確認
境町の茨城西南医療センター病院は2日、液体塩素を積んだタンクローリーの横転事故にマイクロバスが巻き込まれたと想定した「化学災害」の訓練を、同病院駐車場で行った。同病院や古河赤十字病院、消防から約140人が参加。交通事故による外傷に加え、液体塩素に触れて重傷となった患者にどのように対処するか実践した。
訓練は、横転したタンクローリーに高校の野球部員ら20人を乗せたマイクロバスが衝突、塩素とガスが漏れ出たと想定。患者は頭を打つなど重傷を負ったほか、液体塩素に触れて皮膚がただれたり、ガスを吸い呼吸困難になったりしたと仮定した。
まず消防隊が出動して現場の状況を把握。同病院の災害派遣医療チーム(DMAT)と連携して患者を搬出し、液体塩素の除染を行った。
次に場所の想定を同病院に移し、医師や看護師らが、液体塩素の除染に使うテントを設営。消防士の指導を受けながら防護服を着用し、患者の到着を待った。その後、自力で動けない患者の除染方法や、治療する患者の優先度を決めるトリアージの手法を確認した。
同病院は2013年11月に災害拠点病院となったが、これまでの訓練は地震を想定したものが多く、化学災害にも対応できる態勢をつくろうと訓練を企画した。
看護師の吉岡恵里子さん(38)は「防護服を着ていると動きづらく、人数を確保して協力し合わないとスムーズな誘導ができないことを確認できた」と話した。亀崎高夫院長は「定期的に訓練を開催し、有事に対応できるようにしていきたい」と述べた。(小原瑛平)