常総産食材、重文で舌鼓 1日限定レストラン
常総市大生郷町の国指定重要文化財「坂野家住宅」を活用したレストランが3日、1日限定でオープンした。日立市出身で都内のレストランで総料理長を務める神保佳永さんが、地元食材を使ったイタリア料理を提供。抽選で選ばれた市民20組40人をもてなした。
坂野家住宅は、築300年の江戸中期の豪農住宅で、主屋と表門が国の重要文化財。1日限定レストランは、坂野家住宅と市内の農産物のPRのため、市が企画した。
会場に使われたのは、主屋西側の木造2階建て書院で、1920(大正9)年築の市指定文化財。コース料理を振る舞うため、特注の調理室を備えたキッチンカー(4トン車)が京都からわざわざ持ち込まれ、神保さん側で配膳スタッフも用意した。
食事はランチとディナーの2部制で、スパゲティや肉料理などのコースメニューを神保さんが考案。食材に使われた野菜や米、常陸牛などは全て常総産で、見た目にも美しい料理の数々がテーブルを彩った。
友人とランチ5品を堪能した常総市本石下の会社員、奥沢槙さん(32)は「野菜がおいしかった。地元産の良さに改めて気付かされた」と満足した様子。同市鴻野山の主婦、本橋ゆかりさん(33)は「庭の景色も素晴らしいので、料理がさらにおいしく感じた」と笑顔で話した。
味だけでなく、照明などの空間演出にもこだわったという神保さん。「常総のおいしい食材と、坂野家という素晴らしい文化財をどう演出するかが課題だったが、お客さんから喜びの声をたくさん頂戴できた。今回のような地産地消にこだわる企画をまたやりたい」と話した。 (今橋憲正)