祈る心・競う技 土浦の花火文化紹介 市立博物館 「からかさ万灯」も展示
日本三大花火大会の一つに数えられる土浦全国花火競技大会の成り立ちを紹介する企画展「花火と土浦II〜祈る心・競う技」が、土浦市中央1丁目の市立博物館で開かれている。「土浦の花火」のほか、同市新治地区に伝わる国選択無形民俗文化財の仕掛け花火「からかさ万灯」の魅力を紹介している。5月6日まで。
企画展は花火の歴史から、本県内での花火技術の向上や普及、土浦市内の花火の発展などを多彩な資料や写真とともに解説する。
花火技術は県内全域に普及。幕末から明治期にかけ、砲術師が伝え、後の花火師誕生に寄与した。結城や筑西、水戸各市に顕彰碑が残されている。
県南部の花火文化の広がりについても紹介。江戸時代から雨乞いや五穀豊穣(ほうじょう)を願い、人形花火や綱火が行われてきた。
からかさ万灯は、江戸時代中期から土浦市大畑に伝わり、毎年8月15日に鷲神社の祭礼として行われている。直径5メートル、高さ6メートルの唐傘(からかさ)に花火を仕掛けるのが特徴で、会場には実物を展示した。
土浦の全国大会の始まりと継承にも触れた。土浦市文京町にある神龍寺の住職が1925(大正14)年、私財を投じ霞ケ浦湖畔で初めて開催。大会は商店街に好況をもたらしたことで、まちを挙げて年々盛大に開かれるようになった。
会場では、江戸時代の花火の記録集や、浮世絵、各地に残る花火に関する石碑の拓本、花火の興行願い、火薬調合の用具や配合帳などを展示。現在の花火の筒と、10号玉から2・5号玉までさまざまな大きさの花火玉を並べた。
同館の関口満学芸員は「軍事技術としての武士の花火から庶民の楽しみまでを紹介した。花火と向き合った昔の人の思いに心をはせてもらえれば」と話し、来場を呼び掛けている。
月曜休館(30日は開館)。入館料は一般105円、小中高生は50円。問い合わせは同館(電)029(824)2928。
(綿引正雄)