2018年5月19日(土)

竹島記載 赤水の地図、政府注目 7月、都内で特別展

「改正日本輿地路程全図」の実物と展示用地図を照らし合わせる山本智嗣参事官補佐(左)ら=高萩市歴史民俗資料館
「改正日本輿地路程全図」の実物と展示用地図を照らし合わせる山本智嗣参事官補佐(左)ら=高萩市歴史民俗資料館

高萩市出身で江戸時代の地理学者、長久保赤水(1717〜1801年)が手掛けた古地図に、政府が注目している。伊能忠敬より42年前に、経緯線を入れたわが国最初の日本地図「改正日本輿地路程全図」(赤水図)を完成させた。政府は「江戸期の庶民が竹島を日本の領土と認識していたことを示す代表的な資料」と高く評価し、今夏に特別展を開催する。昨年の生誕300年を機に顕彰機運が高まる地元は「赤水の業績を全国に発信したい」と期待を寄せている。(日立支社・飯田勉、東京支社・高岡健作)

■相次ぎ調査

内閣官房領土・主権対策企画調整室は3月、同市を訪れ、赤水図の撮影を行った。1月に東京・日比谷の市政会館に開設した「領土・主権展示館」の目玉資料の一つにするのが目的。同館は竹島や尖閣諸島を巡る情勢などを紹介する国の初めての施設で、同企画調整室の山本智嗣参事官補佐は「赤水図に大きな価値を感じている」と話した。

外務省の委託を受け、政策シンクタンク・日本国際問題研究所(東京)も4月下旬、3日がかりで赤水の関係資料を調査するため同市入りした。江戸期の庶民が実用し、約5千もの地名・旧跡などが記された赤水図には、竹島が描かれており、当時の庶民が竹島を日本領と認識していたことを示す証拠と注目している。

調査した島根大学法文学部の舩杉力修(なすぎりきのぶ)准教授は「竹島を初めて日本地図に記したのが赤水。鎖国の時代にもかかわらず、赤水は東アジア全体に関心を持ち、各地のさまざまな書籍や資料を収集して地図をつくり、出版した」と高く評価する。

■背景に領土問題

政府が赤水図に注目する背景には、韓国による竹島の占拠や、中国公船が繰り返す尖閣諸島での領海侵犯など、近年の緊張した領土情勢がある。

外務省は2017年度予算で、領土に関する資料収集や客観的事実を情報発信する「領土・主権・歴史調査研究支援事業」に5億円を新規計上し、18年度も同額を予算化。あらためて赤水図に政府のスポットライトが当たった形だ。

領土・主権展示館は、竹島と尖閣諸島が日本固有の領土であることを説明したパネルや関連資料約60点を展示。「領土や主権の正しい国民理解を深めたい」として、7月に赤水をテーマとした初の特別展を開催する。竹島が記された改正日本輿地路程全図などが広く公開される予定だ。

■顕彰会も期待

地元で赤水の功績を伝える活動に取り組む「長久保赤水顕彰会」(佐川春久会長、会員約350人)は昨年度、赤水生誕300年の各種記念事業を展開した。今回の政府の調査にも全面協力している。

同企画調整室は3月に続き4月にも同市を訪れ、佐川会長らと会った。同展示館で7月初旬から約1カ月間、赤水の特別展を開催し地図や関係資料など約20点を展示する考えを明らかにした。顕彰会の提案で都内の赤水ゆかりの地を巡るウオーキングラリーを9月に開催する予定も組まれた。

佐川会長は「都内で赤水の特別展や催しが開催されることになり、大変うれしい。今後も連携していきたい」と期待する。

同会は19年に都内で開催される国際地図学会関係者の来市や、国の重要文化財指定に向け取り組んでいくと意気込む。

★長久保赤水

1717年、現在の高萩市赤浜の農家に生まれ、9歳で母を、11歳で父を亡くし、継母に育てられた。16歳の時に鈴木玄淳の塾に通い、25歳ごろから水戸藩の学者、名越南渓などに学んだ。35歳ごろ、地図に興味を持ち始め、日本各地を旅しながら自身の目で国土の地理について学んだ。儒学や天文学も学び、77年に水戸藩6代藩主・徳川治保の侍講に抜てきされ、江戸小石川の水戸藩邸で97年まで暮らし、1801年に没した。

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