10カ国の港湾技術者 鹿島港の歴史、運営学ぶ
■JICA研修 開発、管理向上図る
港湾開発や運営を学ぶため来日中の海外港湾技術者らが1月30日、鹿嶋、神栖両市を訪れ、鹿島港を視察した。座学や現場視察を通して、鹿島港の歴史や現在の運営状況などを学んだ。
視察は、国際協力機構(JICA)が実施している研修の一環で、国土交通省などが研修員の受け入れ協力を行っている。この日はインドネシアやカンボジア、タンザニア、フィリピンなど10カ国の港湾技術者ら14人が参加した。一行は6週間ほど日本に滞在し、日本国内の港湾を視察するなどして自国の港湾開発や経営、運営管理の向上に役立てる知識を習得する。
研修員らは、国交省鹿島港湾・空港整備事務所(鹿嶋市粟生、早川哲史所長)で、鹿島港の開発に関する映像を視聴したり、早川所長による鹿島港の概況説明を受けた後、鹿島港ケーソンヤードを視察した。
ケーソンは、防波堤の水中構造物として使用される鉄筋コンクリート製の巨大な箱。海上でのコンクリート打設は気象などの影響を受けやすいため、陸上であらかじめ製作したケーソンを、設置場所まで運搬して備え付ける方法を採用している。担当者らが港湾の図を示しながら、ケーソンの製作状況などを説明。研修員らは製作現場をカメラで撮影したり、熱心に質問したりしていた。
同事務所が所有する港湾業務艇に乗船し、海上から港内の工場群や岸壁の利用状況などを視察。鹿島港や鹿島臨海工業地帯を一望できる港公園展望塔(神栖市東深芝)も見学した。
タンザニアの研修員は「産業の誘致と港の開発を一緒に進めていったことが参考になり、学んだことを国に持ち帰りたい」、フィリピンの研修員は「鉄鋼や飼料、居住地域などゾーニングが素晴らしく、印象に残った」とそれぞれ感想を話した。(関口沙弥加)