《2020年夏季茨城県高校野球大会》準々決勝 霞ケ浦 投打に底力、隙見せず
昨夏の王者・霞ケ浦が投打でその貫禄を見せつけた。絶対的エース・山本雄大(3年)は、最後の打者となった相手4番を外角のスライダーで三振に仕留めると、左拳をぐっと握った。
投打の軸が、実力を存分に発揮した。「最後の試合だと思うと気持ちが高ぶった」と山本。数々の好投手を輩出してきた高橋祐二監督(60)が「総合力でナンバーワン。勝ち方を分かっている」と言わしめる投球を、最後の試合でもやってのけた。いつもより変化球を多用し、緩急をうまく使ってコースに投げ分けた。終わってみれば、被安打3、9奪三振の完封。二塁への進塁を一度も許さなかった。
打撃では、これまで精神的にもチームを引っ張ってきた小田倉啓介主将(3年)が4安打2打点の活躍を見せた。小田倉は「仲間がつないでくれた結果」と淡々と振り返った。
昨夏の甲子園を経験した2人。新チームとなり2連覇を目指してきた。しかし、新型コロナウイルスの影響で甲子園大会は中止に。気持ちは折れかけたが、代替大会の開催が決まり、目標はその頂点に定め、それを達成した。
マウンド上での喜びに沸く光景や、バックスクリーンに向かっての校歌斉唱はなかった。それでも、最後まで負けなかった王者の意地は確かに示した。小田倉は「負けないで終われたことに達成感がある。後は、後輩たちの甲子園出場を望むだけ」と話し、これに続けと下級生に「3連覇」を託した。