《2020年夏季茨城県高校野球大会》準々決勝 湖北の大坪、窮地に3連続K 速球で勝負、人生初完封

土浦湖北の大坪誠之助(3年)は最後の公式戦を人生初の完封で締めくくった。最速144キロの速球で、土浦日大の強力打線をねじ伏せた。最後の打者を打ち取ると、チームメートがマウンドに集まり、「ナンバーワン」を示すように、人さし指を夏空に突き出した。
エース同士の投げ合いは、三回が勝敗の分かれ目だった。相手先発の中川竜哉(同)に二塁打を浴び、自らの野選などで無死二、三塁のピンチを招いた。内心は「めっちゃ焦った」。だが、ここからの投球は圧巻だった。「1点でも与えたら負けると思っていた」と犠飛を嫌い、力のある速球で押し込んで、見事3者連続三振を奪った。
相手打線は先発8人が右打者。6月下旬の練習試合で3回無失点に抑え、「投げやすい」感覚が残っていた。要所は外角低めのスライダーが効いた。
3回戦(7月24日)の常磐大高戦で141球を投じてから、肘の痛みで調整は十分でなかった。さらに気温は30度を超え、六回からは疲労で脚が震えた。それでも「みんながマウンドを任せてくれた。気合だった」と投げ抜いた。
本来であれば全校生徒や高校野球ファンから大歓声を浴びたはずだ。声援はなかったが、「勝って高校野球を終えられてよかった。達成感しかない」とほほ笑んだ。
180センチ、78キロ。土浦三中出身。