《第73回秋季関東高校野球》準々決勝 常総4強、中村の先制打で勢い センバツ引き寄せる
◇秋季関東高校野球大会準々決勝(常総学院9-1木更津総合、27日・ZOZOマリンスタジアム)
「ヒーローになりたくないのか」。六回表、打席に向かう常総学院9番打者・中村蒼(2年)にベンチから声が飛んだ。前の2打席目までは好機に連続凡退。巡って来た3度目の好機は逃さなかった。チームに勢いを与える先制打を放ち、ヒーローになった。
第1打席は2死二塁で三振。第2打席は2死二、三塁で右飛に終わった。
六回の第3打席。2死一、二塁で回ってきた。「とにかく上位打線につなぐ」意識で構えた。2球で追い込まれた後の3球目、来た球に体が反応した。「細かいことは覚えていない。とにかく必死に食らいついた」。思い切り振り抜いた当たりは右中間を破り、走者2人がかえった。待望の先制打にベンチとスタンドは歓声と拍手が沸き起こった。
茨城県大会は打率2割2分2厘と苦しんだ。「低い打球を打つことを意識し過ぎて、球を捉え切れなかったり、打ち上げてしまったりしていた」と振り返った。
それでも、関東大会までの3週間、チームメートにも助けられながら、チームの徹底事項である「センターに低い打球を返すこと」を意識して練習した。諦めない姿勢が大事な試合で実を結び、選抜大会出場をたぐり寄せる殊勲者となった。田辺広大主将(同)も「あの場面で打てたのは大きい。ずっと苦しんでいたので、『中村が打った』とみんな盛り上がった」と笑顔でたたえた。
4強入りを決めても、徹底事項は崩さない。中村は「東海大甲府に勝って先に進む」と、みなぎる闘志を示した。