◆2023年 3月◆

審査評　気韻生動　一瞬切り取る

今月は、春の訪れを告げる風景や動植物、久しぶりに再開された祭り、イベントなど146点が寄せられました。

最優秀賞は綿引勝春さんの「冬の雀達」です。寒気を防ぐために全身の羽毛を膨らませた「ふくら雀」。有刺鉄線に等間隔に並んで止まったところを捉え、その愛らしさを強調しました。中央のスズメが羽ばたいたタイミングを選んだことで、写真に動きが生まれ、寒さに抗う生命力が伝わります。自然の中から気韻生動たる一瞬を見事に切り取った作者の感性に脱帽です。

優秀賞には広瀬泰成さんの「水戸夜梅」と柴田啓蔵さんの「瞬時の空中遊泳」が選ばれました。「水戸夜梅」は、偕楽園で開かれた「夜・梅・祭2023」第2夜の花火です。梅林を燃えるような赤に染める夜空の大輪。絶妙な位置に好文亭と水戸芸術館のタワーを配し、非の打ちどころがない構図と露出で撮影しています。

「瞬時の空中遊泳」は、海の青色を背景に、道着の白がとても爽やかです。若者の躍動感と情景がマッチして素敵な記念写真になりました。