◆2023年 4月◆

審査評　銃口の先にらむ鋭い視線

春爛漫(らんまん)の今月は、身近な桜や祭りなどに目を向けた作品174点が寄せられました。

最優秀賞は佐々木敏勝さんの「撃てー!!」です。望遠レンズを使い、火縄銃の引き金を引いた直後の撃ち手に迫りました。銃口の先をにらむ鋭い視線が印象的です。画面からはみ出すほどの大胆な構図で切り取ったのは、始めから撃ち手の表情に狙いを定めていたからでしょう。背景をぼかす開き気味の絞り、飛び散った火薬を写し止めるシャッタースピードも的確です。作者の意図が明確に伝わる写真は、見ていて気持がいいです。

優秀賞には大和田健さんの「百花繚乱(りょうらん)」と平沢徳孝さんの「桜美、輝く」が選ばれました。「百花繚乱」は、ライトアップされた桜と花火が見事に調和して、夜空に咲き乱れています。NDフィルターで露光を制御し、計算された構図の中に、鮮やかでシャープな光跡を描いています。

「桜美、輝く」は、青空と桜並木を映す水面がすがすがしい風景写真。縦位置にカメラを構えたことで、奥行きと臨場感のある写真になりました。