◆2024年 3月◆

審査評 黄色の傘に生命感

今月は、晩冬の寒さが伝わる風景や春の訪れを告げる動植物、イベントなど156点が寄せられました。

最優秀賞は圷文男さんの「雪中の下校」です。立春の翌日に県内に降った大雪を、久慈川を流れるシガの撮影ポイントで有名な沈下橋と下校途中の小学生を絡めて、叙情的に切り取りました。無彩色の風景に、子どもたちの差す黄色の傘がアクセントになり、写真に生命感を与えています。寒さと静寂の中、木橋を鳴らしながら進む足音が聞こえてきそうです。

優秀賞には大和田健さんの「春爛漫(らんまん)」と丸森勝造さんの「葦(あし)舟世界大会」が選ばれました。「春爛漫」は、雨引観音境内の河津桜。超広角レンズをローアングルに構え、青空をバックに花の存在感を際立たせました。建物とのバランス、回廊を渡る僧侶を捉えたシャッターチャンスなど、細かいところにまで神経が行き届いています。

「葦舟世界大会」は、湖岸のアシを刈って舟をつくり、その速さを競うという、霞ヶ浦で開催されたユニークな催し。魚眼レンズを使い、葦舟が一斉に沖にこぎ出す臨場感を出しました。(写真映像部)





「雪中の下校」 圷文男(大子町)
ニコンD800 80~400ミリ f8 1/800秒 ISO800=大子町




「春爛漫」 大和田健(筑西市)
キヤノン 16~35ミリ f8 1/250秒 ISO100=桜川市


「葦舟世界大会」 丸森勝造(土浦市)
パナソニック 8ミリ f8 1/640秒 ISO200=行方市




「僕たちの夢の先」 樫村康宏(神栖市)


「筑波山の雪化粧」 稲葉清美(つくば市)


「冷めない裡に」 川村昇司(水戸市)


「ダブルダイヤモンド」 平沢徳孝(常陸太田市)


「街」 西口邦彦(石岡市)


「嵐除祭」 佐藤邦夫(東海村)


「夜梅の祭り」 広瀬泰成(水戸市)


「全力疾走」 斉藤孝一(つくば市)


「出現」 品川純子(日立市)


「赤いオブジェ」 圷晃(常陸大宮市)

2024年 3月